ロングショート戦略がもう効かない!?
ヘッジファンドの人気の戦略にロングショートという戦略がありますが、コロナ禍が原因でその手法では難しくなってきていて、廃業するヘッジファンドも増えてきているようです。
ロングショートはもっとも一般的な手法なので、それが儲からなくなっているという話なのですが、それはどうしてなのか?まず、ロングとショートについてご存じとは思いますが、基本的なことから解説を加えてみたいと思います。
ネットの投信資料館によると、一般的には
「株式ロング/ショート戦略は、株式市場において、値上がりが期待できる割安な銘柄(過小評価された銘柄)を買い、同時に値下がりが予想される割高な銘柄(過大評価された銘柄)を空売りします。
株式などを買うことを「ロング」にする、あるいはロング・ポジションをとると言い、売ることを「ショート」にする、あるいはショート・ポジションをとるなどと言うことから、この戦略はロング/ショート戦略と呼ばれています。」
ということになります。
ポイントは2つを組み合わせる戦略ということです。
さて、7月8日のブルームバーグは次のような記事が載っていました。
ランズダウンは主力ファンド閉鎖、25年のベテランも廃業3月の相場下落時には株式ヘッジファンドの87%が損失 ヘッジファンドのお気に入りの戦略がもはや機能しなくなっている。
ランズダウン・パートナーズは主力のロングショート株式ファンドを閉鎖。
値上がりしそうな銘柄のロングと値下がりしそうな銘柄のショートを組み合わせる戦略をとるファンドの将来に不安を抱かせた。
ロングショートファンドを25年余り運営してきたスローン・ロビンソンも廃業を決めた。
ヘッジファンドは相場下落時にショートポジションによってその影響を緩和できる能力が買われ、投資家が分散投資先に選んできたが、3月の株価下落時にはブルームバーグの指数に含まれる株式ヘッジファンドのうち87%が損失を被り、その半数は10%以上を失った。
株価は回復したが、7月7日時点のデータによれば70%のファンドは1-6月の成績がマイナスだ。
とあります。
これだけですとまだわかりにくいと思いますので、筆者が依然このコラムでヘッジファンドの戦略について解説したロングショート戦略について引用させていただきます。
相場の方向性を予測して利益を追求する「ディレクショナル(=方向をとらえる)型投資戦略」で、市場の方向性に投資するという戦略で、株式市場などで、将来的に値上がりが期待できる割安な銘柄をロング、値下がりが予想される割高な銘柄を空売りショートするという戦略で、ヘッジファンドでは最も一般的な投資スタイルかもしれません。
ショートセラーズと呼ばれるトレーダーもこのなかの一員と数えられます。
ショート専門のトレーダーで、株価が上昇している時は年率で数パーセントですが、負けていることもよくあります。
トレンドと反対のポジションをとるわけですから、うまくいかなくても当たり前です。
負けているのにヘッジファンド?!と驚く方もいらっしゃると思いますが、ショートセラーズは、複数のヘッジファンドのポートフォリオを組んでトータルで資産を管理するファンド・オブ・ファンドと呼ばれる巨大投資会社(投資銀行)などに徴用されることが多いです。
というのは、今回のようなコロナ危機のようなたまに来る暴落の時にはショートセラーズは強いからです。
他の手法はおそらく痛手を被っていることでしょう。
ショートセラーズは、他のヘッジファンドと相関がないことでポートフォリオのヘッジ機能を発揮するからです。
要するに株の長期投資用のヘッジ機能が効かなくなってしまったということと考えられます。
なぜなのか?というと、それは米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度)がコロナ禍で取った政策によるものです。
FRBはドルの無制限の量的緩和をすることを決定、社債までも購入することを追加的に始めています。
また信用収縮が起こらないようにドル資金の供給を無制限に行うことを決めています。
政策金利(FFレート)については長期間のゼロ金利政策をとることを決定しています。
それでも足らない場合は、日銀の政策を真似てイールドカーブ・コントロールを検討していると伝えられています。
さて、ロングショート戦略が効かない理由は、これまでのロジックがもはや効かないマーケットに変貌してしまっているからと言うことができます。
つまり、新型コロナウイルスが猛威を振るう現在ほど、企業にとって将来の見通しが暗い状況は想像しにくいにもかかわらず、FRBが無制限にドルを供給し続け、長期にわたる低金利が見込まれるという株式相場への追い風が吹いているために株価は堅調であること。
従って絶対的利益を追求するヘッジファンドとしては、下げに備える必要が必須なのですが、そんな時に重要な戦略がショート戦略であるはずなのにうまく回らなくなってきてしまっています。
でもそれだけが答えではありません。
もっと正確に問題点を探してみると、本質的な問題点が別のところにあることが分かってきます。
ロングショートは極めて価値のある戦略であるのですが、最近のヘッジファンド業界での問題点はほとんどすべてのヘッジファンドがアルゴリズム(計算結果をプログラムしたロジック)を使ってトレードしていることです。
アルゴを使うと人間にはできないスピードでかつ広範囲にマーケットを追いかけられるようになり、いわゆる人間トレーダーにありがちな「抜け」や「入れ忘れ」もありません。
その点でアルゴは人間より優れているのですが、問題はとんでもないスピードで無数のアルゴが市場を動かしているので、基本的にはボラティリティ(変動幅)が大きくなります。
結果として大きくなってしまっているといったほうが正解かもしれません。
ボラティリティ(ボラとも表現します))が大きい時の問題点は、特にこれまでのボラ以上のことが起こると過去データをベースにプログラムされたアルゴですらついていけなくなることも考えられます。
エントリー、エグジットが遅くなってしまうのです。
従って利益となるはずのものが損失になるというトレーダーにとってはあってはならない結果に!
ショート戦略が株価では効きにくいので、それならばショートをしなければよいではないかとの反論が出てくると思うのですが、そうすると市場を予想する必要が出てきます。
世の中は予想できないことが必ずどこかで起こる物なので、それがいつどのような形で起こるかは誰にも予想できないので、やはりヘッジ用のショートポジションは必要なのです。
ヘッジファンドが使っている標準的なアルゴを上回る優れたアルゴを開発した者、あるいは市場を予測するアルゴを開発し得たヘッジファンドが最終的な勝利者になります。
著者プロフィール

齊藤トモラニ 老舗FXスクール代表。
FX会社主催のセミナー講師としても活躍する。
著書に『簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード』
ロンドンfxの松崎美子さんと一緒にYouTube「fxの流儀」を配信中
<FXの流儀youtubeチャンネル>
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