オーストラリアのイールドカーブ・コントロール(YCC)

オーストラリアのイールドカーブ・コントロール(YCC)

オーストラリアの中央銀行に当たる準備銀行(RBA、Reserve Bank of Australia)が2020年3月19日に臨時決定会合で0.25%ポイントの利下げを決定し、政策金利(キャッシュレート)を0.25%としました。

また、3年物国債金利の目標を0.25%程度に設定するイールドカーブコントロールおよび国債を流通市場から買い入れる実質的な量的金融緩和(QE)も決定しました。

RBAのロウ総裁は常々「政策金利が0.25%まで低下した場合、QEが選択肢に入る」と発言してきたこともあり、その決断したことになります。

 

さて、日銀のイールドカーブ・コントロール(ここからはYCCとします)と日銀以降初めて適用されたオーストラリアのYCCとは姿かたちが変わります。

また、前回のFOMCで検討されたと伝えられているFRBのYCCについては日銀式でもないようです。

いずれにせよ、イールドカーブ(YC)とは「利回り曲線」のことで、縦軸に債券の利回り、横軸に償還までの残存期間をとったもののことを言います。

YCCとは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、YCを適切な水準に維持することです。

国債買い入れオペレーション(公開市場操作)などを通じて長期金利を誘導する一方、当座預金への付利を調整するなどして短期金利を誘導するオペレーションのことを指しますが、日銀とRBAのYCCはどのように違うのでしょうか?

 

日銀YCCについては、日銀のウェッブサイトで次のように説明しています。

日本銀行は、2016年(平成28年)9月20、21日の政策委員会・金融政策決定会合において、従来の「量的・質的金融緩和」、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を強化する形で、新たな金融緩和の枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。

新しい政策枠組みは、主として、2つの要素から成り立っています。

第1に、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。

としています。

 

オーバーシュート型コミットメント」というのは、野村證券の証券用語集によると、

2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつで、日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること。

とありますので、日銀は徹底的にやりますよという強い意志が感じられます。

 

日銀のYCCは、具体的には10年債利回りを0%前後とするというものですが、すでに4年やっているのに、効果がでているのかどうか?効果がないとするといつまで続けるのか?物価が2%目標としていますが、すでに7年間到達していません。

10年債利回りが目標0%前後ということと矛盾しないのか?等々いろいろ疑問がわきます。

 

日銀のYCC導入の経緯としては、ゴールドマンサックス証券の馬場直彦氏の説明によると、すでにマイナス金利が導入されていて長期金利が下がり過ぎていた日本の場合は、金融市場に弊害が出てきていた状況下で導入が決断されたとのことでした。

そのためYCCとしてはむしろ特殊で、国債買い入れの増加ペースの低下を目的としたもので、下がりすぎた長期金利の引き上げが目標であったとのことです。

一方、6月のFOMCで検討されたものは、金利の低位維持とそれによる景気刺激効果を狙うというオーソドックスなものであったようです。

 

FRBは昨年9月の短期金利の急上昇を受けて、10月から1カ月に約600億ドル(6兆6,000億円)のペースで短期国債を購入してきており、バランスシートを拡大してきました。

このオペは6月30日に終えています。

何のための短期国債購入かというとFF金利やレポ金利の上昇抑制が目的で、その効果があらわれていて短期金利は安定傾向に推移してきていました。

ちなみにフェデラルファンド(FF)とは政策金利のことで、レポ金利とは、金融機関同士が国債などを担保に、短期金融市場で資金を貸し借りする際の金利です。

FRBが購入の対象としている資産は、残存期間が1年に満たない短期国債です。

これは長期国債を購入する場合と異なり、長期金利を押し下げる効果はほとんどないといわれており、その意味で、短期国債を対象とする資産購入は、いわゆる「量的緩和(QE)」ではないとFRBは主張しています。

 

さて、話をオーストラリアに戻しますが、以前のレポートでもお伝えしている通り、オーストラリアはリセッションを28年間も経験しなかったのですが、それは欧米の経済ショックの影響を受けにくかった中国との関係が幸いしてきたからと思われます。

それ故、実に28年間もの間リセッションとは無縁でやってこられました。

リセッションとは2四半期連続でマイナス成長になることと定義されますが、1990年代前半から今までずっとプラス成長してきたことになります。

ただ、今年になってから2回のダブルパンチがオーストラリアを襲っています。

広範囲の山火事と新型コロナ禍です。

 

6月4日のウォールストリートジャーナルはこう伝えています。

「オーストラリアの28年に及ぶ景気拡大は、1990年代のアジア太平洋地域の経済危機、2000年代の世界的な経済危機、2010年代の主要コモディティー(国際商品)業界の好不況を乗り越えてきた。

だが、20年1-3月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長となり、リセッション(景気後退)が差し迫っている。壊滅的な山火事と新型コロナウイルス対策の各種規制が大きな打撃となった。

1-3月期のGDPは前期比で0.3%減少し、2011年以来の前期比マイナスに転じた。

エコノミストらは、当局がコロナ対策を強化し、商業活動の大部分が制限され、旅行業界が崩壊状態となった4-6月期は、GDPがさらに大きく落ち込むと予想している。

新型コロナウイルス感染拡大による悪影響は、観光や輸出だけでなく国内消費にも広がり、オーストラリア経済は約29年ぶりの景気後退に陥る可能性が出てきた。」

としました。

 

その点では今回導入されたオーストラリアのYCCは、3年金利という短期金利の低位安定を狙ったもので、馬場氏のコメントによれば3年くらいでの実現を目標にしたものではないかということのようです。

オーストラリア版YCCは、今後FRBがYCCを導入するかどうかの判断基準になりそうです。

日銀式YCCは?どうも特殊過ぎて相手にされていないようです。

ECBはYCCを考慮してないと伝えられています。

その証拠に7月16日のECB理事会ではYCCについてのコメントはありませんでした。

著者プロフィール

memo
ウィンインベストジャパン( https://win-invest.co.jp/ )
齊藤トモラニ 老舗FXスクール代表。
FX会社主催のセミナー講師としても活躍する。
著書に『簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード』
ロンドンfxの松崎美子さんと一緒にYouTube「fxの流儀」を配信中
<FXの流儀youtubeチャンネル>
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