フィッチが米国債の格付けを引き下げ
7月31日(金)のビッグニュースは、米国の3大格付け会社の一つであるフィッチ(Fitch)が米国のソブリン債を最高級の「AAA」のステーブル(安定的)からネガティブ(弱含み)に引き下げたというニュースでした。
フィッチは2000年以来米国債の格付けをAAA(トリプルA)のステーブルにして以来リーマンショック後、2011年11月28日にネガティブ(弱含み)に格下げしていましたが、2013年10月15日にネガティブウォッチ(※)としました。
その後2014年3月21日にステーブル(安定的)に再び格上げさせていたわけです。
そして、米国の一般政府債務は2021年までに対国内総生産(GDP)比130%を超える見通しなので、フィッチは7月31日に格付けを下げることとしたようです。
ただ、外貨建て長期ソブリン格付け「AAA」は据え置いた、とのことです。
(※)三井住友DSアセットマネージメントによると、上記の「ネガティブウォッチ」という格付けウォッチとは
格付け会社が、格付けに影響を及ぼすような事案があった際に、近い将来信用格付けが変更になる可能性があるとして調査を行っていることを表す用語。フィッチ・レーティングスが使用しています。信用格付けについて、プラスの方向で見直している場合の「ポジティブ」と、マイナスの方向で見直している場合の「ネガティブ」、格上げ・格下げ・格付け据置のいずれの可能性もある「流動的」がありますが、必ずしも格付けが変更になるとは限りません。
ということです。
さて、SMBC日興証券の用語集によると
格付会社とは、債券やその発行体の債務支払能力をあらゆる角度から総合的に評価する会社のことです。
信用度の高いものから順に記号や数字を用いて表示した等級(信用格付け)を付与し、債券やその発行体の信用力を示しています。
S&P、Moody’s、Fitchの日本法人のほか、JCR、R&Iなど、2020年1月20日現在7社の格付会社が金融庁の登録を受けています(信用格付業者)。
格付会社は、発行体からの依頼により、または依頼を受けずに、経営陣とのミーティング、財務分析、業界分析などを行い、金融商品または企業・政府などの信用力をある一定の基準に基づいて、「Aa3」「AA-」などの記号や数字を用いて表示した等級で評価する。
この「Aa3」「AA-」などと付けられた評価を信用格付けという。
この信用格付は公表され、投資家が債券などの金融商品への投資を行なう際の参考データとなるほか、株価などに大きな影響力を持っている。
しかし、世界金融危機 (2007年-2010年)の際には、それまで最上級のトリプルA(AaaまたはAAA)の信用格付けが付与されていたサブプライムローンが、数日後にはジャンク格にまで格下げされるなど、リーマン・ショックを引き起こした一端として、格付会社のあり方がG7で問題になったことがありました。
大手格付け会社には、フィッチ以外にS&PとMoody’s(ムーディーズ)がありますが、その2社はまだ米国債権の格下げには至っていません。
どちらもトリプルAでステーブル「安定的」のままです。
もっともAAAという用語はフィッチのものなので、他の2社は異なる表現をしています。
フィッチのAAA stable(ステーブル「安定的」)はS&P社はAA+ stable、Moody’sはAaa stableと表現するようです。
ちなみにこの2社は前述のように米国債のレーティングは現在トリプルAでステーブル「安定的」としていますが、S&Pもムーディーズもリーマンショック直後の2011年8月2日と5日にネガティブ(弱含み)にした後2013年6月、7月にステーブル「安定的」に格上げしています。
気になるのはフィッチの格下げにフォローしてS&Pもムーディーズが格下げに踏み切るかどうかです。
それが行われると米国債マーケットや為替に、そして米国株へのインパクトは小さくないでしょう。
近々この2社がフィッチに続き米国債の格付けを下げた場合何が起こるのでしょうか?株価、米国債、ドル円、ドル(インデックス)の4点で歴史を紐解いてみたいと思います。
まず、株価ですが、S&P500で観てみると、リーマンショック後の2011年8月第1週から2週にかけて10%ほど下がっていましたが、第2週に大底となりその後もう一回同様の2番底を経験して株価は反転上昇し続けています。
フィッチが3か月半遅れてネガティブ「弱含み」としたときはすでに株価は上向きかけていました。
次に、米国10年債利回りを見てみますと、2011年第1週では2.565%の利回りは2.262%へと10%以上下がりました。
つまり、米国10年債は買われたのです。
リスクオフで買われたことになります。
その後も利回りは1.676%まで急落し、その後、フィッチがネガティブ「弱含み」に格下げしたことで乱高下がみられましたが、その後安値を再び更新していました。
リスクオフが続いたことによる債券買いが続いたことになります。
さて、ドル円の動きはどうだったのでしょうか?アベノミクス以前だったので超円高が続いていた頃でしたが、2011年8月第2週は76円台、11月最終週は78円とあまり参考にならない動きでした。ドルインデックスは2011年8月第2週は74.61、11月最終週は78.61でした。ドルインデックスやドル円、株価に対する米国債格下げとの顕著な関係は見られませんでした。しかし、米国債券がリスクオフで逆に買われることになり金利が下がったと言う点は無視できないかもしれません。
ただ、私見ですが、コロナ禍でも株価が上昇し続けている現状での株価へのインパクトは小さくないかもしれません。結果的にドルも売られるでしょう。
さて、これに先立つこと1.5日前の29日(水)、時事ニュースが、日本の国債のレーティングが下げられたというニュースを流しています。「大手格付け会社フィッチ・レーティングスは29日、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げたと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大により国内経済が縮小したほか、経済対策に伴い政府の債務が増加すると見込まれるため。格付け自体は「A」に据え置いた。」とあります。
この日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債358回債の取引が成立しなかったようです。取引の不成立は2018年11月以来、約1年7カ月ぶりとか。フィッチによる格付け見通しを引き下げたことが影響したのでしょうか?市場で様子見姿勢が強かったためと伝えられています。
為替マーケットでは円は世界で一番安全な通貨と言われています。日本が対外資産保有額では世界一だからです。ただ、格付け会社の判断基準は政府の国債発行額の対GDP比を一番重要視してそうですね。その点では米国は今回のコロナ寡でのドル札増刷をもうしばらくの間継続しますのでバランスシート拡大し、米国政府は失業給付金のバラマキを続けますので、一般政府債務は2021年までに対国内総生産(GDP)比130%を超えるとされています。このまま他の2社がレーティングを下げてくると長期金利はさらに下がり、ドルインデックスも続落することになるのかもしれません。
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