日銀による金利政策と 為替相場の関係とは

FX初心者にとっては「政策金利が上がればその通貨が買われる」という程度のことは知っていても、具体的にどんな理由で買われるのか(売られるのか)は理解が難しいですよね?

この記事ではそんなFX初心者の方のために、金利政策と景気や為替レートへの影響を、基礎的な内容から詳しく説明していきます。

この記事を読むことで、金利と為替レートの関係の本質的な理解ができるようになるので、是非ご一読下さい。

日銀の金利政策の役割

日本銀行(以下、日銀)による金利政策の役割は、「物価を安定させること」です。

これを理解するために、「需要が多いモノは価格が高まり、需要が少ないモノは価格が下る」という性質を理解する必要があります。

金利政策に影響を与えるインフレとデフレ

個人消費や企業の設備投資が活発な好況期は、物が沢山買われ(=モノの需要が高い)て物価は上昇。物価が上昇すれば相対的に貨幣価値は下落し、「インフレ」状態になります。

一方、景気の後退期は個人消費や企業の設備投資が減り、モノの需要が減るので物価が下落。物価が下がれば相対的に貨幣価値が上昇し、「デフレ」状態になります。

金利政策の目的はインフレ・デフレの「行き過ぎ」の解消

個人消費や企業の設備投資が活発化しすぎると、経済実態にそぐわない「過度なインフレ」状態を引き起こします。逆にリーマンショックなどの世界的な大不況の影響で、景気後退が行き過ぎると「過度なデフレ」状態を引き起こすことになります。

日銀は、この景気の「行き過ぎ」を抑制したり、安定的な経済成長のために「金利政策」を実施して、正常な物価水準を維持します。

日銀の金利政策が国内のお金の流通量を決めている

日銀は先述の「物価の安定」を目指し、金利政策で国内のお金の流通量をコントロールしています。

日本の金利政策は、「公定歩合」という日銀が民間銀行にお金を貸す時の利率をコントロールすることを意味します。

「中央銀行」という金融システムを使う国でお金が世の中に流通するには、中央銀行が民間銀行にお金を貸し付け、民間銀行がそのお金を個人や企業に貸し付る段階を踏みます。

つまり、世の中にお金が流通する前に、中央銀行と民間銀行の間でお金の貸し借りが発生しているということです。

金利政策のポイントは「利上げ」と「利下げ」

日銀の金利政策は、公定歩合の「利上げ」と「利下げ」の2つのみです。

利上げ」の場合、民間銀行は日銀からお金を借りるコストが高くなります。仮に100万円を1年間借り入れる場合、利率が5%から8%に上昇したら、1年後に返済する金額が105万円から108万円に上昇。つまり資金調達コストが3万円高くなります。

一方、「利下げ」の場合、民間銀行は日銀からの借入コストが安くなります。仮に1年間100万円を借りる場合、利率が8%から5%に下がれば、1年後の返済金額は108万円から105万円になり、返済額が3万円安くなります。

つまり、金利政策とは直接的には公定歩合の「利上げ」「利下げ」によって、民間銀行が日銀から資金調達する際のコストを調整しているのです。

金利政策と景気の関係

では、日銀が民間銀行の資金調達コストを調整すると、景気にどのような影響が出るのでしょうか。

ここでは、「民間企業も、個人や企業への貸付の際に設定する金利から利益を得ている」という仕組みも理解しておく必要があり、個人の場合は住宅ローンやマイカーローンなど、民間企業は設備投資のために銀行からお金を借ります。

民間の行はこの貸付の返済で得らる「利息」から利益を得て、その利益の中から日銀に資金の返済を行います。

「利上げ」による景気への影響

日銀が「利上げ」を行った場合、日銀から資金調達した民間銀行は返済時の資金を確保するために、個人や企業への貸付金利を引き上げます

この「民間銀行→個人・企業」の金利が高ければ、個人や企業は資金調達が難しくなります。つまり、個人は住宅ローンやマイカーローンを組みづらく、企業も資金調達コストが高くなります

結果、民間部門の消費が低迷し、経済成長が鈍化・景気が頭打ちになるということです。

「利下げ」による景気への影響

日銀が「利下げ」を行った場合は、「利上げ」と逆の効果を考えましょう。

つまり、日銀の利下げによって民間銀行の貸付利率も低下。個人・企業の資金調達コストが下がり、消費や投資行動が活発化。その結果、経済が活性化して景気が良くなります。

「利上げ」「利下げ」の景気への波及効果をまとめると、「日銀↔民間銀行↔個人・企業」の3つの経済主体間の資金調達コストに影響し、最終的に個人と企業の消費に波及するということです。

金利政策が為替相場に大きく影響する理由

ここからは、金利が変動した場合、為替レートにどう影響するかを確認しましょう。

FXでは、通貨ペアごとに設定される「スワップポイント」を元にトレードする必要があります。

スワップポイントによる為替レートへの影響

政策金利が3%のA国と1%のB国があった場合を考えてみましょう。

エントリー方法

スワップポイント

結果

A国通貨買い/B国通貨売り

3%-1%=「2%」

2%分の利益を獲得

A国通貨売り/B国通貨買い

1%−3%=「−2%」

2%分の損失が発生

A国通貨を買い、B国通貨を売ると「3%ー1%=2%」分のスワップポイントの利益が得られます。逆にB国通貨を買ってA国通貨を売った場合、「1%ー3%=−2%」のスワップポイントとなり、2%分の損失が生じることになります。

つまり、FXで取引できる通貨ペアは、相対的に金利が高い国の通貨は買われ、政策金利が低い国の通貨は売られやすいということです。

ここから、「利上げ」通貨は買われやすくなり、「利下げ」通貨は売られやすくなるということが分かります。

中央銀行(日銀)による「利下げ」の影響

実際の為替レートで金利政策の影響を確認してみましょう。下記のチャートは、2013年4月4日に公定歩合が0.1%から0.0%に「利下げ」された週を中心としたチャートです。

「利下げ」が実施された4月4日を含む4月1日〜4月5日の週足が大陽線となり、レートが強く上昇したことが示しています。

利下げは当該国通貨の「売り」要因です。上記のチャートは米ドル円のレートですが、当時の米国の政策金利は0.25%。つまり、米ドル買い・日本円売りによって「0.25%−0.0%=0.25%」のスワップポイント利益が見込める局面です。その結果、米ドル円レートが上昇しています。

まとめ

この記事では、日銀による伝統的な金融政策である金利政策と、為替レートへの影響について紹介しました。

中央銀行による政策金利の調整は為替レートに大きく影響しますが、1994年の金融自由化に伴い公定歩合と民間銀行の「預金金利」の直接的な連動性は無くなっています。

そのため、日銀の政策金利変更はマーケットでは注目度は下がっています。ただし、中央銀行・金利・為替レートの関係は他国でも同様のことが言え、米国の中央銀行(FRB)による政策金利の変動は為替レートに大きく影響するので、この記事で紹介した内容はしっかりと覚えておきましょう。

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