2020年1月の米国雇用統計が2月7日(金)午後10時30分に発表されます。
トレーダーの皆さんにとっては、最も注目している指標ではないでしょうか。
この記事では、米国雇用統計の概要を説明したうえ、雇用統計の中でも重要な指標である「非農業部門雇用者数」と「失業率」の予想値を示したうえ、当日発表される結果を予想してみたいと思います。
Contents
米国雇用統計の概要

米国雇用統計とは、アメリカの雇用情勢を示す統計です。
アメリカ経済は個人消費で支えられているため、雇用の状況は景気に直結します。
したがって、為替相場においても、この雇用統計は大きな影響を与えるものとして注目されています。
トレーダー注目の米国雇用統計
米国雇用統計は、BLS(米労働省労働局統計局)が調査する指標で、原則毎月第1金曜日の午後9時30分(冬時間は午後10時30分)に発表されています。項目数は10数項目からなっています。
雇用統計は個人の所得や消費に関連して推移するものであり、今後の景気動向や為替相場にも影響を与えるため、FXトレーダーの間では、雇用統計の発表がビッグイベントとして注目されています。
米国雇用統計の概要まとめ
発表日 | 原則として、毎月第1金曜日 |
発表時間(日本時間) | 夏時間:午後9時30分冬時間:午後10時30分 |
項目 | ・非農業部門雇用者数・失業率・平均時給・週労働時間・小売業就業者数・建設業就業者数など10数項目 |
なぜ雇用統計が注目されるのか
アメリカは世界のGDP(国内総生産)の20%以上を占める超大国であり、一国で世界経済が動きます。
また、アメリカ国内の経済は約70%が個人消費で占められています。
つまり、アメリカ経済の良し悪しは個人消費の多寡により決まると言っても過言ではありません。
したがって、個人の雇用状況を報告する雇用統計は、今後の個人消費の見通しを左右する重要な指標と言われています。
また、アメリカの中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、雇用状況を勘案しながら金融政策(利上げの実施など)を決定します。
一般的には、利上げを行うと通貨高、利下げを行うと通貨安になります。
米国雇用統計の注目するべき2つの指標

米国雇用統計で注目するべき指標は2つあります。
それは「非農業部門雇用者数」と「失業率」です。アメリカの景況感を知るために、この2つの指標は必ずチェックしましょう。
非農業部門雇用者数
農業部門を除いた、民間企業や政府機関に勤める就業者の増減を示す指標です。
農業部門は天候や時期によって雇用者数が大きく変動するため、除かれています。
アメリカの雇用は流動的であるため、景気の良し悪しが雇用に直接影響します。
この指標が増加した場合は、景気が好調であるとみなされ、ドル高が進む傾向にあるでしょう。
失業率
失業者の数を労働力人口(=失業者+就業者)で割った値が失業率となります。
失業率が低下すると、労働状況が改善されたものとみなされ、景気が上向きな状況です。
2月7日発表予定の雇用統計の予想値は?

ここからは、2月7日の午後10時30分に発表予定の2020年1月分の雇用統計を分析していきます。
非農業部門雇用者数の予想値は「16.0万人」
1月分の予想値は、「16.0万人」となっています。
前回(12月分)の非農業部門雇用者数は、結果値(14.5万人)が予想値(16.4万人)を下回りました。
ゼネラルモーターズのストライキが終結したことにより、11月は結果値が大幅に増加していますが、12月はその反動を受けた形になっています。
非農業部門雇用者数の推移
10月 | 11月 | 12月 | 1月(今回発表) | |
予想値 | 8.9万人 | 18.0万人 | 16.4万人 | 16.0万人 |
結果値 | 12.8万人 | 26.6万人 | 14.5万人 | ? |
失業率の予想値は「3.5%」
1月分の予想値は、「3.5%」となっています。
12月分の失業率は、予想値と結果値が同値(3.5%)でした。
3.5%という失業率は、11月から横ばいとなっていますが、この数値は約50年ぶりの低水準です。
失業率の推移
10月 | 11月 | 12月 | 1月(今回発表) | |
予想値 | 3.6% | 3.5% | 3.5% | 3.5% |
結果値 | 3.6% | 3.6% | 3.5% | ? |
2月7日発表予定の雇用統計の結果予想

12月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数の結果値が予想値を下回りましたが、1月分の雇用統計ではどのような結果になるのでしょうか。
ここではこれまでに分かっている情報を基に、独自に1月分の雇用統計の結果を予想します。
消費者信頼感指数は結果値が予想値を上回る
消費者信頼感指数とは、アメリカの消費者マインド(消費者心理)を表す指数で、個人消費やGDPの相関性が強いといわれています。
2020年1月の消費者信頼感指数は、予想値を上回る131.6でした。
つまり、消費者が感じる景況感は好調であったことが読み取れます。
米中貿易交渉の第一段階が合意
1月中旬には米中貿易交渉の第一段階の合意文書に署名がされました。
ひとまずアメリカと中国の対立が緩和されたと考えられるため、雇用市場が活性化する可能性があるといえます。
なお、2020年2月6日には、中国は米国からの約750億ドル(約8兆2400億円)相当の輸入品に対する関税率を2月14日から半分の水準に引き下げる措置を取ります。
2020年1月政策金利は据え置き
2020年1月にFOMCは政策金利を1.50-1.70%で据え置きすることを発表しました。
なお、懸案事項としてあげられる新型コロナウイルスの影響については、「不確定要素である」としていますが、状況を注視していくことになります。
非農業部門雇用者数は期待?
これまでの情報から今回の雇用統計の発表では、雇用面において比較的ポジティブな材料が多いことから非農業部門雇用者数は予想値より増加する可能性があります。
まとめ
1月分の米国雇用統計は、消費者信頼感度指数が予想値を上回ったことや米中貿易交渉の署名、金融政策の据え置きなどの要素から、コロナウィルスの影響が不確定ではあるものの堅調な数値が発表されると思われます。
しかし、想定外の数値が発表される、いわゆる「サプライズ」の可能性もあるため警戒が必要です。
また、雇用統計が予想値より低く発表された場合でも、今後のアメリカ経済自体の労働市場は力強いという見通しであるため、悲観しすぎる必要はありません。
米国雇用統計の発表は2月7日(金)午後10時30分です。
この記事の著者:スタッフK
FXトレード歴4年。当初は裁量トレードメインであったが、現在はファンダメンタルズ分析とシステムトレードにより収益を上げている。
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