米中貿易戦争が為替相場に与える影響とは?

2018年以降、注目されている貿易問題が米中貿易戦争です。今回は米中貿易摩擦が為替相場にどのような影響を与えるのかを解説していきます。

米中貿易戦争とは?

まずはニュースなどでもよく耳にする米中貿易戦争とは、どんな問題なのかを確認しておきましょう。

米中貿易戦争とはアメリカと中国の貿易問題で、2018年以降相互に追加関税をかけ合ったことから、「戦争」という表現が用いられています。

世界第一位の経済大国と第二位の経済大国の間での争いとあって、世界経済に与える影響はとても大きなものだと言えるでしょう。

ことの発端は大統領選前にトランプ氏が対中国の貿易赤字を問題視したことに始まります。2018年1月にはセーフガードを発動し、洗濯機に20%、太陽光パネルに30%の追加課税を課すことを発表しました。

これに中国は反発し、中国側もアメリカに追加関税をかけることになります。こうして、両国が追加関税をかけ合う泥沼の事態になってしまいました。

例えば「追加関税の計画を立てている」といった米中貿易摩擦の話題が持ち上がるたびに、株式市場や為替市場は大きな影響を受けることになりました。

それだけ市場心理に与える影響も大きかったと言えるでしょう。

関連記事:米中貿易戦争の経緯と概要を分かりやすく解説!

なぜ米中貿易戦争が為替相場に影響を与えるのか

次に米中貿易戦争が為替相場に与える影響について考えてみましょう。そもそもなぜ、米中貿易戦争が相場に影響を与えるのでしょうか。

基本的に相場というのは数多くいる投資家の心理によって動きます。「米中貿易戦争問題」と言われるように、2国間の貿易摩擦は世界経済にとって良くないことという共通認識があります。

そこで、米中貿易戦争に関するニュースが飛び込むと、投資家はリスクを回避しようとする動きを見せます。株安、ドル安、人民元安、一方で安全資産である日本円は買われ円高の傾向を見せます。

リスクオフの時のチャートを確認

実際にチャートを使って確認しておきましょう。上のチャートはドル円の日足です。2019年8月初め、中国は人民元安を容認し、アメリカは中国を為替操作国に認定しました。

為替操作国とは、自国通貨安を保って輸出力をアップさせようと為替を不当に操作しているとアメリカが認定した国のことです。これに中国が加えられたため、貿易摩擦の懸念が強まり、市場はリスクオフの状態となりました

このときのタイミングをチャートで確認すると、ドル円相場は急落していることが分かります。1日のうちに200pipsも下落するという大幅な変動があったことが確認することができます。ドルは売られドル安となり、円は買われ円高となりました

次に人民元の動きも見ておきましょう。

上の画像は、先ほど確認したドル円のチャートと同じ時間足で同時期の人民元/円の通貨ペアです。

こちらもやはりアメリカが中国を為替操作国と認定したタイミングで、大幅な下落が見られています。

人民元は売られ人民元安、円は買われ円高となっています。このように、日中貿易戦争が激化したときというのは、為替レートはリスクオフの動きをするということを覚えておいてください。

日本円への影響は

最後に我が国日本円への日本円への影響は以下の2通りのパターンが考えられます。

・リスク回避の点から安全資産である円が買われる

・日本企業への影響

リスク回避の点については、ここまで説明した通りです。市場がリスクオフのモードになれば、安全資産である円が買われる動きが見られます

国の借金を多額に抱える日本の通貨が安全資産なのかは議論の余地がありますが、株安+円高というのは、ここ数年のパターンとなっています。

世界経済にとって心配事項が生まれると、円高方向に動くという市場のコンセンサスがあるというわけです。

一方で、日本企業への直接的な影響も考えられます。アメリカに輸出される中国製品には日本企業の製品が多く使用されています。

半導体、プラスチック、電子部品などの日本製品が中国へ大量に輸出されています。もしもアメリカが関税を引き上げれば、中国への輸出が減少して一部の日本企業の業績に影響するでしょう。

日本企業への影響からの影響は以下のような関係が考えられます。

日本企業の業績悪化⇒日本株の下落⇒円高

ここでも株安と円高はリンクしていることが分かります。

今後の展望

今後も日本円は米中貿易戦争の影響を受けるのでしょうか。2019年末~2020年にかけて、貿易摩擦は緩和するのではないかという動きが見られています

2020年の1月13日には通貨の競争的な切り下げを回避する合意文書が確認され、アメリカは中国を為替操作国認定から解除しています。

さらに同年の1月15日トランプ大統領と劉鶴副首相は米中経済貿易協定に署名しています。

貿易協定の第一段階はクリアし、両国歩み寄りの姿勢を見せています。さらに第2段階の合意を得られれば、アメリカは中国にかけていた関税をすべて撤廃するとも表明しています。

もしも、第2段階が合意すれば、市場はリスクオンとなり、円は売られ、ドルや人民元は買われることになるでしょう

現在は、新型コロナウィルスの影響で株高+円安の流れが落ち着いていますが、こうしたリスク要因も無くなれば、さらなる株高+円安の流れが生まれるでしょう。

ただし、第2段階の合意は容易ではないと言われています。米中貿易戦争が再び激化すれば、再び円が高騰する事態も考えられます。

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