アメリカの新築住宅販売件数とは?為替へ与える影響を解説!

アメリカの新築住宅販売件数は、景気の先行指標として注目されています。住宅業界のみならず、広い範囲の業界の景気に対しても波及効果があり、為替相場に対する影響も大きいため、トレーダーにも注目されています。

この記事では、アメリカの新築住宅販売件数の概要や2月27日午前0時(2月26日24時)に発表される1月分の数値と結果予想、為替相場に与える影響を解説していきます。

アメリカの新築住宅販売件数とは

住宅は、消費者の家計の中で最も大きな支出であるため、経済全体に与える影響も多大なものとなります。新築住宅販売件数では、消費者がどの程度住宅を購入したかを知ることができるため、アメリカ経済が好況であるか否かを把握する助けになります。

アメリカ・新築住宅販売件数の概要

新築住宅販売件数とは、アメリカ商務省センサス局が調査・集計している経済指標です。全米と地域別(北東部・中西部・南部・西部)を対象とし、新築住宅の販売件数や価格、在庫状況などが調査されます。前月比(%)と年率換算件数(万件)が毎月24日から月末までの間に発表されます。

なお件数には一戸建てのほかコンドミニアムや共同住宅も含まれ、売買契約が完了した時点で集計されます。そのため、景気動向に対する先行性が非常に高い指標となっています。

発表元 アメリカ商務省センサス局
発表日 毎月24日から月末
発表時間

(日本時間)

夏時間:午後11時

冬時間:午前0時

発表内容 前月比(%)と年率換算件数(万件)

中古住宅販売件数との関係

中古住宅販売件数とは、全米不動産協会(NAR)が調査している経済指標で、中古住宅の販売件数を毎月発表しています。

新築住宅販売件数と同様に景気の先行指標ですが、中古住宅販売件数は所有権移転が完了した時点での集計となるので、新築住宅販売件数より1~2か月程度遅れた指標と見られています。

しかし中古住宅の市場は、新築住宅市場より規模が大きいのが特徴です。アメリカの住宅動向を知りたい際は、新築住宅販売件数と中古住宅販売件数の双方をチェックするとよいでしょう。

新築住宅販売件数がなぜ注目されるのか

住宅の新築を行うと建築資材はもちろん、家具・家電等の販売などにも経済効果が波及するため、GDP(国内総生産)に与える影響も大きいものとなっています。

また住宅ローン等で長期間の支出を伴いますので、消費者は今後の経済状況などを慎重に判断して購入を決めます。したがって、新築住宅販売件数は他の経済指標より景気の動向に敏感であるといえます。

為替相場においても通貨の売り買いの判断指標とされており、新築住宅販売件数の結果値が予想値を上回ると通貨高、下回ると通貨安になる傾向があります。

2月27日発表分の予想値 

ここでは今回発表される新築住宅販売件数の予想値と、過去の発表結果を振り返るとともに、為替の動きをチェックしていきます。

予想値は前月比「3.5%」、年率換算件数「71万件」

2月27日午前0時に発表される1月の新築住宅販売件数の予想値は、前月比「3.5%」、年率換算件数「71万件」です。

過去の予想値と結果、為替の動き

前回(12月分)発表時は、前月比-0.4%、年率換算件数69.4万件の結果となり、10月から3か月連続で落ち込みました。しかし、前年比では23%増と前年水準を上回り、堅調に推移しています。

下は前回発表時のドル円チャートです。赤丸の部分が発表の瞬間ですが、結果値が予想値を下回ったことも一因となり、発表直後は若干のドル売りがされました。

2020年1月27日のドル円チャート

新築住宅販売件数の推移(単位:%、万件)

    2019年

1月

2月 3月 4月 5月 6月
前月比 予想値 -0.6 2.1 -2.5 -2.8 1.9 6.0
  結果値 -6.9 4.9 4.5 -6.9 -7.8 7.0
年率換算

件数

予想値

(万件)

62.0 62.0 65.0 67.5 68.0 66.0
  結果値

(万件)

60.7 66.7 69.2 67.3 62.6 64.6

 

    7月 8月 9月 10月 11月 12月 2020年

1月

前月比 予想値 -0.2 3.5 -0.7 1.1 -0.5 1.5 3.5
  結果値 -12.8 7.1 -0.7 -0.7 1.3 -0.4 ?
年率換算件数 予想値

(万件)

64.9 66.0 70.1 70.9 73.5 73.0 71.0
  結果値

(万件)

63.5 71.3 70.1 73.3 71.9 69.4 ?

新築住宅販売件数の結果はどうなる?

今回発表の新築住宅販売件数の結果はどのようになるのでしょうか。これまで記事の執筆時点で入手できている情報をもとに、結果予想をしていきます。

家計の住宅ローン残高は増加傾向

ニューヨーク連邦準備銀行は2月11日、住宅ローン金利が下げられたことで、家計における住宅ローン残高は増加していると発表しました。また、カードローンや自動車ローンを含めた家計部門の債務は日本円で1,550兆円となり、過去最大に増大しています。

雇用情勢は良好?

2月7日に発表された1月雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回ったほか、時間給賃金(前月比)はほぼ予想値どおりの結果でした。アメリカの労働市場は堅調に推移しているため、労働者が住宅を買うための余力が高まっていると考えられます。

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為替への影響は?

経済指標は結果値が予想値を上回ると景気の拡大・回復が加速しているとみなされ、ドル買いの材料となります。下回ると景気が失速・停滞しているとされ、ドル売りがされる傾向があります。

1月30日に発表された第4四半期の実質GDP(速報値)は前年対比2.1%となり、予想値と一致しましたが、下支えとなったのは住宅投資でした。

また住宅ローン金利の利下げや雇用情勢が比較的良好であることを勘案すると、新型コロナウイルスの影響も懸念材料としてありますが、今回発表の新築住宅販売件数は予想値を上回る可能性がありそうです。

まとめ

住宅の購入は、消費者の家計の中で最も大きな支出となります。よって、消費者は今後の経済状況(収入や雇用情勢)をよく検討して住宅の購入を決めるため、基本的には好景気な時期には住宅の販売件数は増える傾向にあります。

セオリーとして、新築住宅販売件数の結果値が予想値を上回るとドル買い、下回るとドル売りの材料になるといわれています。また、結果値と予想値の差が大きいほど為替相場に対するインパクトは大きくなります。

住宅ローン残高が増加傾向にあることや雇用情勢が比較的堅調であることを考えると、今回の新築住宅販売件数の発表では堅調な結果が出る可能性があります。しかし、新型コロナウイルス等の影響から楽観視できる状況ではないため、トレードを行う際は慎重に判断を行いましょう。

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