インターネット上で「FXで借金をした」という話を皆さん一度は見たことがあると思います。結論からいうと、FXで借金をする可能性はあります。しかしトレードの仕組みや方法を知ることができれば、リスクを大きく減らすことができます。
この記事では、トレーダーを守るロスカットの仕組みや借金が発生するメカニズム、借金をしないための注意点やリスク対策を解説してきます。この記事を参考に安全なトレードを行いましょう。
Contents
ロスカットの基本的な仕組みとは?
ここではロスカットの仕組みや、ロスカットされる水準の計算方法を解説します。本格的にトレードを始める前に、メカニズムを学んでいきましょう。
損失を拡大しないための仕組み
トレードでは相場が予想外の動きを見せた時、損失が発生する場合があります。そんな時に損失を拡大させないための仕組みが「ロスカット」です。
ロスカットは一定の損失が発生した際、さらに損失が増えるのを防ぐため、強制的にポジションを決済する、トレーダーを守るための機能です。ロスカットの仕組みがなければ発生した損失を全額決済しなければならなかったり、資産をすべて失ってしまったりする可能性があります。
つまりFX取引で予想外の相場の変動があったとしても、ロスカットがあることで基本的には最低限の資金が手元に残せるということです。
証拠金維持率とは?
そもそも証拠金とは取引を行う際に担保として預けるお金のことですが、証拠金には「必要証拠金」と「有効証拠金」があります。
- 必要証拠金=取引をする通貨ペアのために最低限必要な証拠金
- 有効証拠金=FX会社の口座にある証拠金±含み損益
そして証拠金維持率とは、保有しているポジション対する余力の比率を示す値で、一般的には300%程度あれば安全といわれています。
計算式は、以下のとおりになります。
証拠金維持率(%)=有効証拠金÷必要証拠金×100
それでは、具体例を使って説明しますね。次のような具体例を想定します。
- 1USドル=100円
- レバレッジ25倍
- 口座に100万円入金済
- 含み損益なし(売りと買いのポジションなし)
上記の条件の時に10万通貨(1,000万円)の買いを入れた場合、必要証拠金は40万円(=1,000万円÷25倍)となります。
含み損益がないので、口座に入金した100万円が有効証拠金となります。
したがって、証拠金維持率の計算式は次のようになります。
なぜロスカットがあるのに借金をする可能性があるの?

ロスカットはトレーダーを保護する仕組みですが、条件により借金が発生する可能性があります。ここではFXで借金を負う場合のパターンを紹介します。
「強制ロスカット」というシステムがある
評価損が一定の金額に達した場合、損失がそれ以上拡大しないようにするシステムが「強制ロスカット」です。一定の証拠金維持率を下回った場合にロスカットは発動しますが、FX業者により基準となる証拠金維持率が異なります。
- GMOクリック証券:50%未満
- DMM FX:50%以下
- 外為どっとこむ:100%以下
具体例を使ってみてみましょう。
- 1USドル=100円
- レバレッジ25倍
- 口座に100万円入金済
- 含み損益なし(売りと買いのポジションなし)
この場合だと次の計算式により、証拠金維持率は250%となります。
しかし、評価損が膨らみ有効証拠金(FX会社の口座にある証拠金±含み損益)が20万円まで減った場合、証拠金維持率が50%(=20万円÷40万円×100)まで落ちるため、証拠金維持率50%未満のFX業者ではロスカットされることとなります。
したがって、例では1USドル=100円で買っていたため、1USドルが92円になった時に、ロスカットされることとなります(有効証拠金100万円-20万円=80万円(評価損)、80万円÷10万通貨=8円)。
レバレッジ取引の場合は追加で証拠金が必要
レバレッジをかけて取引を行っている場合に発生するのが追証(おいしょう)です。トレードで損失が発生し、証拠金維持率が一定の水準を下回った場合、FX会社から入金を求められます。追証を解消するためには、追加入金かポジションの決済をする必要があります。
また追証が発生して期限までに支払いできなかった場合は、ポジションがすべて強制的に決済されます(FX会社にもよります)。
相場の急変でロスカットが発生せず借金を背負うことも
FXはロスカットの仕組みがあるため、一定以上の損失は発生しないのが基本です。しかし相場が急変した場合ロスカットの発動が間に合わず、ロスカット水準を飛び越えて決済される場合があります。その際に証拠金が不足した場合、追証が発生する可能性があります。
前の見出しで説明したとおり、追証が発生した場合はポジションが強制決済されますが、それでも証拠金が不足することがあります。追証で発生した不足分の証拠金は返済の義務がありますので、FX会社へ借金をしたことになります。返済しなければ法的措置により差し押さえなどされる場合があります。
例えば、DMM FXでは、次のように規定されています。
【DMM FX】ではお客様の損失額がある一定の水準に達した時点で強制的にお客様の保有されているポジションすべてを決済するロスカットルールが採用されています。原則としては最低限の資金は温存されるということです。ただし、ロスカットルールがある場合においても、相場の状況等によっては預託された証拠金以上の損失が発生することがあります。 (引用元:https://fx.dmm.com/fx/aboutfx/losscut/)
関連記事DMMFXの強制ロスカットはいつ発生するの?追証は?
下のチャートは、2015年1月15日のユーロ/スイスフランのものです。いわゆるスイスフランショックの発生で相場が急変したことによりロスカット水準を大幅に超えて決済され、多額の損失を負ったトレーダーもいました。

2015年1月15日のユーロ/スイスフランチャート(スイスフランショック)
ロスカットで借金を背負わないために

ロスカットで借金を背負わないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。リスクを出来るだけ抑える方法を紹介します。
基本的にロスカットは「証拠金を維持するもの」
ロスカットは前述のとおり、証拠金維持率が一定の水準を下回った場合に発動する仕組みです。したがって、「証拠金を維持するもの」であると解されます。
勘違いされがちですが、通常の範囲内で取引を行う場合は、ロスカットの仕組みでトレーダーは守られるため借金が発生することはありません。しかしながら相場の急変に耐えるために、証拠金は十分に用意する必要があります。
特に初心者のうちは必要以上にレバレッジをかけない
レバレッジをかけすぎると証拠金維持率の余裕が少なくなるため、損失が発生した際に強制ロスカットになる可能性が高くなります。
ただしレバレッジをかけないと大きな利益を得ることができないため、初心者のうちは3倍程度のレバレッジでトレードを行うことをおすすめします。
関連記事DMM FXのレバレッジは何倍から?レバレッジ変更方法とリスクについて解説
相場の急変などを予測し、リスクの大きすぎる投資は避ける
経済指標の発表時やリスクの高い通貨ペアで取引を行っている場合、相場が大暴落・大暴騰を起こすことがあります。相場が急変した場合、強制ロスカットの発動が間に合わず、必要以上に損失が発生しますので、ハイリスクな通貨や相場への影響が大きい経済指標の発表前は注意して取引を行う必要があります。
関連記事FXの取引通貨単位とは?初心者は1000通貨単位がオススメ!
まとめ
この記事をまとめると以下のとおりになります。
・ロスカットはトレーダーを守るための仕組み
・相場の急変によりロスカットが間に合わない場合がある
・レバレッジ取引では追証(借金)が発生する可能性がある
・自分の証拠金維持率は、常に把握しておく(300%程度が理想)
・初心者のうちは高レバレッジ、リスクが高い取引をしないように注意
FXで一攫千金を狙うのも結構ですが、方法を誤ると逆に借金を背負ってしまう可能性があります。初心者のうちはこの記事に書かれていることに気を付けて、トレードを行っていきましょう。
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