アメリカのGDPは全世界のGDPの20%以上を占めており、世界経済に大きな影響を与えます。また、GDPの成長率は景気の良し悪しと直結しているため、為替相場も敏感に反応します。
この記事では四半期ごとに発表される実質GDPの解説を行うとともに、2月27日に発表予定である第4四半期の実質GDP(改定値)の結果予想をしていきます。GDPの概要・為替への影響を知りたい方やトレードにGDPを有効活用したい方はぜひご一読ください。
Contents
実質GDP(改定値)とは

GDPとは端的にいうと、その国の経済活動の総合的な結果です。トレードにおいては雇用統計と並ぶ重要な経済指標であるため、ここで基本を押さえていきましょう。
実質GDP(国内総生産)の概要
GDP(Gross Domestic Product)とは国内総生産と訳され、国内で生産された財やサービスの付加価値を合計したものをいいます。
GDPは名目GDPと実質GDPに分けられます。名目GDPは付加価値をそのまま合計したもので、実質GDPは、インフレやデフレといった物価変動による影響を除外した金額となります。
実質的な経済成長をはかるためには物価変動の影響を除く必要があるため、より注目されるのは実質GDPとなります。
アメリカの実質GDP(国内総生産)
アメリカの実質GDPは、年4回(四半期ごと)、商務省経済分析局(BEA)が調査しており、それぞれ「速報値」「改定値」「確報値」が発表されます。またGDPは個人消費や輸入・輸出、住宅への投資、設備投資などで構成されています。
集計期間終了後の1か月後に速報値が発表され、2か月後に改定値、3か月後に確報値が発表されます。なおトレーダーがより注視するのは最初に発表される速報値です。
アメリカ・実質GDP(改定値)発表の概要
発表元 | アメリカ商務省経済分析局(BEA) |
発表日 | 5・8・11・2月の下旬 |
発表時間
(日本時間) |
夏時間:午後9時30分
冬時間:午後10時30分 |
発表内容 | 前年比年率 |
実質GDPがなぜ注目されるのか
実質GDPは、その国の経済活動を総合的に表した指標です。つまり、景気の良し悪しや経済成長をはかることができます。
GDPが予想を上回ると、為替相場では景気が上向きになったと判断され通貨高になります。逆に予想を下回ると景気が減速・停滞しているとされ、通貨安になるのが一般的です。相場が大きく動くのは速報値の発表ですが、改定値で大きく修正された場合も敏感に反応します。
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2月27日発表のアメリカ実質GDPの予想値
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ここでは今回発表される第4四半期実質GDP(改定値)の予想値をチェックするとともに、過去の結果を振り返っていきます。
2020.2.27の予想値は「2.2%」
2020年2月27日に発表される実質GDP(改定値)は、2019年の10月~12月分(第4四半期)です。予想値は「2.2%」です。
過去の実質GDPの予想値と結果、為替の動き
2019年第3四半期の実質GDP(改定値)は2019年11月27日に発表されました。予想値1.9%に対して結果値が2.1%となり、結果値が予想値を上回りました。
発表日のドル円チャートは以下のとおりです(赤丸が発表の瞬間)。同時にアメリカの新規失業保険申請件数も発表されたことも要因であると思われますが、ドル買いがすすみました。
2019年11月27日のドル円チャート
実質GDP(改定値)の推移(単位:%)
2018年
第1四半期 |
第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | ||
前年比年率 | 予想値 | 2.3% | 4.0% | 3.5% | – |
結果値 | 2.2% | 4.2% | 3.5% | – |
2019年
第1四半期 |
第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | ||
前年比年率 | 予想値 | 3.1% | 2.0% | 1.9% | 2.2% |
結果値 | 3.1% | 2.0% | 2.1% | ? |
実質GDP(改定値)の結果はどうなる?

記事執筆時点で入手できる情報をもとに、今回発表される実質GDP(改定値)の結果はどうなるのかを予想していきます。
実質GDP(速報値)の振り返り
1月30日に発表された第4四半期の速報値では、前年比年率で2.1%となりました。個人消費や設備投資が減速したものの、中国との貿易摩擦を起因として輸入が減少したことから貿易赤字が縮小し、住宅への投資(住宅建設)が増加したことが下支えとなり、経済成長が維持されています。なお、予想値は2.0%であり、結果値との差は0.1%でした。
新型コロナウイルスの影響は?
猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、本格的に流行が始まったのは2020年に入ってからです。したがって、今回発表される実質GDP(改定値)への影響は限定的であると考えられます。
しかし、2月24日のニューヨーク株式市場では、感染拡大を懸念して2018年以来の下げ幅を記録するなど、確実に世界経済へ悪影響を与えています。今後中国の生産活動が抑制されることでGDP・経済成長が減速し、不安定な状況が続く可能性があります。
実質GDPの為替への影響は?
各種経済指標の発表では、予想値と結果値に差がある場合、為替相場は大きく反応します。また、実質GDPの発表では、改定値と速報値との差が大きい場合も為替相場に与える影響が大きくなります。
今回の発表での予想値は2.2%となっていますが、結果値の発表時に大きくずれが生じれば、相場に与えるインパクトは大きくなるでしょう。また速報値である2.1%と差があった場合でも大きく動く可能性があるため注意が必要です。
まとめ
実質GDPは、国の実質的な経済成長を表しており、景気の動向をはかるための指標として重要です。もちろん為替相場にも大きく影響します。
また、改定値の実質GDPは速報値より注目度が低いものの、予想値と結果値や速報値と大きく離れている場合は相場が激しく反応します。
アメリカの第4四半期実質GDP(改定値)は2月27日午後10時30分に発表されます。経済指標の変動をしっかりと押さえ、有利にトレードを行っていきたいですね。
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