トイレットペーパー不足から学ぶ地政学リスクとは!?

現在新型コロナウイルス感染が日本でも爆発的に増えるかどうかの境目にありますが、それに関連して「トイレットペーパーがなくなる!」というデマによるパニック買いが原因でどこのスーパー、薬屋にいってもマスクやアルコール消毒液だけでなくトイレットペーパーのコーナーがもぬけの殻状態になっています。

以前、トイレットペーパーがスーパーから姿を消した事件がありました。

それは1973年の第一オイルショックの時でした。アラブ・イスラエルの第四次中東戦争をきっかけに石油を武器にしてイスラエルと戦うという戦略でアラブ産油国が米国とイスラエルに石油を輸出しないという戦略と同時に原油価格を70%値上げするということになりました。当時の田中角栄内閣の時の中曽根通産大臣が「紙を節約するように!」と述べた一言がきっかけにトイレットペーパーが市場から消え日本人は大パニック。

生産者の「トイレットペーパーはある」という発言が報道されたにもかわらず、店に並ぶと買い占めに走る、消費者が増え本当に手に入らなくなる状態が続きました。

今のパニックにどこか似ています…。

日本人の特徴なのでしょうか?

トイレットペーパーがパニックを起こすほどの重要なものであるかどうかはおそらく日本人独特の価値観かもしれませんが(というのはトイレで紙を使わない人たちもいるからです)その原因となった石油のほうがもし手にはいらなくなったら大変なことになりますね。

電気はなし、プラスチィックもなし、暖房用灯油もガソリンもありません。およそ文明的な生活は全くできなくなります。

我が国では石油はほとんど取れず、100%近くを輸入に頼っています。80年前石油を手に入れることができなくなって、太平洋戦争に突入せざるを得なくなったことは重要な史実です。戦後このような事態に陥ったことは一度もなく平和ってありがたいと思います。

そんな石油ですが、オイルショック以前も以降も、やはり石油は30年で枯渇すると言われ続けてきました。

しかし、掘削技術がかなり進歩したことで、特に米国でシェールオイルが取り出されるようになって、今では石油は数千年分あると言う専門家もいるようです。

という楽観的な見通しに加え、1989年の第二次オイルショック以降は、この供給元に大きな問題が起こったことがなかったので、石油は「お金を払えば手に入れられる」ほかのコモディティと一緒くらいの感覚でいるのが大部分の日本人の反応ではないでしょうか?

さてそのような油断がいつまで続けられるのか?

供給元のリスク分散だけしておけば済むことなのか?

地政学的に問題ないのか?

答えは1973年の第一次オイルショック、1989年の第二次オイルショックを経験してるにもかかわらず、日本がとってきた戦略は国家備蓄だけで、供給元の分散などや供給元に起こりうる地政学リスクや、シーレーンリスクについてあまり取り上げられてきていなかったように思います。

結果、依然として中東からの輸入に過度に依存したままです。

2019年の石油統計によると石油の実に88.2%を依然として中東から輸入していて、いつもタンカーで運ばれてきます。タンカーはいつも無事にホルムズ海峡を出て、オマーン湾、インド洋を航海し、マラッカ海峡を通って、南シナ海、台湾海峡そして日本に。

さて、国家の安全保障にかかわる石油獲得を妨害するような重大事件が最近中東で起こるようになってきています。

ひとつは昨年6月に安部首相が米国イランの仲介役を買って出て、テヘランにハメネイ師とローハニ大統領を訪れた時のことです。あろうことか、ホルムズ海峡付近で日本のタンカーなど2隻に対する攻撃が(おそらくイランの革命防衛隊によって)行われたのです。

これをきっかけにバレル51ドル前半のWTI原油は1か月後に61ドル近くまで19%も値上がりしました。

またそれから3か月後、サウジアラビアのアラムコの石油生産プラントを標的としてドローン攻撃がなされました。

イエメンのフーシ派による攻撃声明が出されましたが、米国はイランがその背後にいるものと断定した事件です。

ドローンを使ったミサイル攻撃というような先進的な攻撃手法がイエメンのフーシ派にできるはずもないことからイランしかいないと断定したようです。

この事件でサウジアラビアの生産量は日産980万バレルから約410万バレルに減少し、日産570万バレルとなりました。

世界の1日の生産量の約5%と長く続けば影響力が計り知れない生産量の損失です。日本の一日の需要量を上回る量でした。こんな事件で産油国の生産に長期間ダメージがあった場合は、備蓄だけでまかなうという政策しかない日本の立ち位置は大変リスクが高いように思えます。

石油備蓄以外に石油の安全保障を考えてこなかった日本は眠りから目を覚させられたようです。中東産油国と大国との確執や中東地域内での小競り合い等大変なリスクをはらんでいます。

それ以降米国からのホルムズ海峡有志連合をつくろうとのリクエストがありました。それが重要なきっかけになって我が国も無視していられなくなりました。ホルムズ海峡有志連合はホルムズ海峡の安全確保を目的にしているものの、自分の石油は自分で守れというトランプ式外交レトリックで組み立てられたアイデアでしょう。

その結果、日本も重い腰を上げ始めましたが、相変わらず憲法上の制約があるとのことで、日本は有志連合には参画しない代わりに、オマーン沖に”情報収集”を目的に自衛隊を送ることを決定し最近第一陣が出発したところです。

この事件で、実は石油獲得のためにはもっと重要な地政学的リスクがあるということが思い知らされた人もいるかもしれません。

メディアではなぜかあまり報道されていませんが、中国は南シナ海に人口の軍事基地を建設中です。

中国は同時に我が国の尖閣諸島を”革新的利益”として常に狙っており、その証拠に毎日尖閣諸島近辺に中国海軍の船が近づく、あるいは同時に中国軍機が領空侵犯を繰り返してきているようです。

その領海領空侵犯に対する日本政府の反応が見えてこないのはなぜでしょうか?

また中国は台湾も狙っています。今年1月11日に台湾の総統選、議会員選挙が行われ独立派の民進党が勝利し、蔡英文総統が再選されることになりました。が、もし中国との融合も辞さない国民党が勝利していたら、地政学的にとんでもないことが起こっていたかもしないのです。

中東からのタンカーはインド洋、マラッカ海峡を通って、南シナ海、台湾海峡を通ってくると書きましたが、万が一その一箇所でも軍事的に遮断されると、日本は途端に石油が絶たれることになるからです。尖閣、沖縄まで取られたら、日本への石油のシーレーンが軍事的に分断されるリスクは大いにありうるのです。

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