リスクオフの日本売り?!円安ドル高の理由を解説

一般的に株が上がっているときは、金融用語でリスクオンと言います。リスクの少ない債券などに置いてある投資マネーを引き出して、積極的にリスクをとっても大丈夫なので、株をロングするような状態を言います。

逆に株が下がっているときは、金融用語でリスクオフと言います。リスクの高い株式取引から資金を引き出し安全資産と言われる国債などの債券などを買うことを言います。期待利益は小さいですが、損失を被ることは基本的にありません。

リスクオンの場合、国債などに置いてある投資マネーは債券から離れ、その結果債券売りになりますから債券価格は下がります。
債券の価格が下がるということはすなわち(長期)金利が上がるということと同義です。
為替マーケットでは安全資産である円は売られ他の(比較的)高金利の通貨ペアに資金が回る傾向になります。

リスクオフになって国債などが買われると、今度は長期金利は下がります。そして円が買われます。円は金利が低いですが、安全な通貨という評価ができていて、リスクオフ時には円が買われる傾向がずっと続いて来ました。

ただ、ここ数年はリスクオフ時にはドルも買われるようになっていますので、結果、強い通貨同士の組み合わせであるドル円は大きな動きとはならないことが多かったです。

新型コロナウイルスがパンデミック化してきて、最近米国の長期金利が史上最安値まで下がっていましたが、これはリスクオフの動きとなっていたためです。世界中のお金が米国債のような安全資産に向かったからです。

でも今回は当初は円は買われず、逆に売られるような「不思議な」動きが起こりました。
最初の兆候は2月19~21日にありました。
日本の第4四半期のGDPがマイナス6.9%ととてもみじめな数字が発表されたからです。円高にならなかったのです。

さて、よく経済活動は「ヒト」ー「モノ」ー「カネ」と言われます。

2008~9年に起こったリーマンショックはその3つうちの「カネ」の部分に問題が起こったので、中央銀行の利下げと量的緩和
という金融政策で解決できたわけですが、今回の新型コロナウイルス+原油価格戦争の場合は「ヒト」ー「モノ」に問題が起こって
いるので中央銀行の緩和策だけで解決できるとは思えません。

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その証拠に3月16日(月)の日本時間早朝にFRBは緊急会合を開き(通常は0.25%ずつなのですが)なんと1%の利下げを決定、フェデラルファンド・レートという政策金利は0.00~0.25%となり、実質ゼロ金利政策をとることを決定しました。それに加え
7,000億ドルの巨額の量的緩和策を打ち出しました。

FRBはマイナス金利までは導入する気がないのでこれで金利には打ち止め感があること、また「これほどまでに経済が深刻なのか?!」という市場の評価で米国ダウは夜間取引で1000ドルも下がっています。

まだ断定はできませんが、中央銀行の金融緩和は今回は効かないかもしれません。長年市場に参加してきた筆者としては、ある程度は予測していたと言え、この市場の反応には驚きを隠せません。

さて、この1か月以内に2回も緊急会合をもったFRBの迅速な動きを観て、遅ればせながら日銀も本来19日に予定していた金融政策決定会合を前倒しして本日正午から開きました。

そこで決まったことは、

(1)マイナス金利の深堀りはしないが、状況によっては将来そういうこともありうる。
(2)ETFの買い入れ額を6兆円から倍増して12兆円とする。
(3)コマーシャルペーパー、社債の購入額を増額させる
(4)企業向け融資の支援スキームを拡充させる
(5)長期国債の買い入れ目標は現状維持で80兆円

 

ということです。

予想はされていましたが、なんとインパクトの少ない結果でしたのでしょうか。

日銀にはマーケットを守る有効な政策はもはや残っていないのでしょう。17,580円台まで上昇してきていた日経先物は、
これを受けて16,650円まで売り込まれてしまいました。
黒田総裁の記者会見で、「株が下がってしまってますが?」と記者に質問されて、総裁はリーマン時の時のようなことには
なりません、と言い切っていました。
そうであることを切に願います。

でも中央銀行の金融緩和は今回は効かないかもしれません。

さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、このようなリスクオフ状態の時に通常は円高になる為替マーケットなのですが、
今回も2/19-21同様どこか違います。リスクオフであるにも関わらず、円安傾向が続いているのです。

なぜか?「日本売り」のせいなのもしれません。
日本が他国に比べて政策ミスをしているとしたら、またいつも言われているようにtoo little, too late(少なすぎで遅すぎる)
アクションのせいででしょうか?力強い政策を迅速に打ち出せるリーダーはもはや日本にはいないのでしょうか?

「日本売り」を想起させる第一の重要なファクターが第4四半期のGDPがマイナス7.1%であったこと。この原因は10月の
消費増税が原因になっているのは明らかです。新型コロナウイルスで「ヒト」ー「モノ」の動きがなくなっているわけですから、
今年第一四半期もマイナス成長が確実です。つまり、日本は2四半期連続のマイナス成長ということで、景気後退確実です。
これが日本売りの最初の理由。

もう一つは、リーダーシップの欠如です。
米国では金曜日にトランプ大統領が国家の非常事態宣言を宣言し、500憶ドルの新型コロナ対策を打ち出したことで米株はほぼ2,000ドルの上昇で引けました。このトランプ大統領の俊敏さとリーダーシップが株価を支えます。

それに比較すると、新型コロナウイルスに関する非常事態宣言を打ち出すことができる特措法を成立させたことで。15日日曜日に安部首相がわざわざ開いた記者会見で「非常事態宣言」を出すか?そして、その対策としてどんな方策(たとえば消費税減税)を打ち出すのか?に関心が向いていたと思われますが、結局ゼロ回答。
加えて日銀の今回の予想を超えない反応。

これでは日本は外人勢に売られてしまいます。

まだ日本と日本円に対する信認は失われていないので、一気に円安になるとは思えません。リスクオフ=円高シナリオは今後もある程度は続くとは思いますが、日本の状況を外人勢はよく見ています。

ただ、まだ日本は終わっていません。残るは財政。大型補正予算と消費税減税、これしかなさそうです。
これをやると日本に対する外人勢の評価が180度変わり、リスクオフ=円高に戻るのではないかと思います。

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著者プロフィール

ウィンインベストジャパン( https://win-invest.co.jp/ ) 齊藤トモラニ 老舗FXスクール代表。 FX会社主催のセミナー講師としても活躍する。 著書に『簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード』 ロンドンfxの松崎美子さんと一緒にYouTube「fxの流儀」を配信中 <FXの流儀youtubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UC30w5H2MGSs6wP1YFjPeXBg

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