【異例】日銀金融政策決定会合前に、金融緩和が緊急決定される

日銀こと株式会社日本銀行は、2020年3月18日(水)、2020年3月19日(木)に開かれる日本政策決定会合により金融緩和政策を発表する予定でしたが、その会合前に金融緩和を行うことを緊急決定しました。まさに異例中の異例です。

コロナショックにより冷え切った市場の「最後の期待」に応える最後の切り札を切ってきました。

以前から黒田東彦日銀総裁

「日銀は常に市場を注視している。潤沢な資金供給を行う、また必要があれば躊躇なく追加緩和。」

と言及していましたが、潤沢な資金供給、つまり上場投資信託ETFの買い入れの上限を12兆円、不動産投資信託(J リート)の目標購入額を1800億円、その他の債権の買い増し等、過去最高額の資金供給をすると発表するも、市場の反応はいまいち。

効果が出るにはまだまだ時間がかかりそうな結果となっています。

マイナス金利の深堀りについては見送りとのことでしたが、黒田総裁は市場の状況で更なる追加緩和を行う姿勢は崩していません。

アベノミクスの三本の矢(大胆な金融政策)

アベノミクス

2013年、第二次安部政権が発足されてから7年目を迎える今日、アベノミクスによるこれまでの日経平均株価の上昇分は新型コロナウイルスによりたったの数週間で一掃されてしまったと言っても過言ではありません。

リーマンショック後の株価低迷の時代をどう立ち直らせるのかを課題にアベノミクスの効果で日経平均株価の上昇は一時期2万4500円近くまで到達している場面もありました

その株価上昇の誘因となったのは、日銀の大胆な金融政策に他なりません。
しかし、その金融政策も限界に来ており、市場では「日銀事態が大きなリスクを抱えてしまっている」とその副作用を主張する者も多く今回の金融政策はまさに最後の切り札とも市場関係者からも言われています。

大胆な金融政策

アベノミクスの三本の矢(大胆な金融政策、機動的な政策、民間投資を喚起する大規模な成長戦略)のうちの一本が日銀主導の異次元緩和政策であり黒田東彦日銀総裁がその舵取を任されています。

日銀は2013年から以前とは桁違いの量的緩和政策を実施してきました。それは公開市場操作として国債を大量に民間銀行から買い取ること、株式市場から大量の有価証券(上場投資信託等)を買うこと、マイナス金利政策等、「デフレ脱却、物価2%の上昇」を目標として2013年以前の時代とは比べものにならないくらいの量的緩和政策をとってきました。

公開市場操作による長期・短期国債の買取り

日銀の役割は中央銀行として、市場の資金量を調整することにあります。

本来はインフレーション等で市場に出回る資金量が多いと判断すれば通貨量を少なくし調整することで物価の安定を図り(売りオペレーション)、逆にデフレーション等で市場に資金量が不足しているのであれば市場に資金供給を行い資金量を増やし物価を安定させること(買いオペレーション)が民間銀行の銀行(日銀)としての役割です。

その資金量の調整手段とは、民間銀行から国債を買取または売却すること、手形や有価証券の購入等を行うことであり、日銀は民間の金融機関を通じて資金量を調節しています。

2008年頃の日銀は国債買い入れ額が40兆円程度を維持している状況とするなら、アベノミクス時の現在の日銀の国債買取量は2018年末でその10倍の470兆円付近まで到達しており、日銀のバランスシートが肥大化していることが見えてきます。それによって大量に買い取った国債の売却ができなくなり、資金を回収することができなくなっています。(参考文献)

一方の民間銀行は日銀から国債を買い取られると、その行き場のない資金を日銀の当座預金に預金します。金融のシステム上、日銀にお金を預かれば預けるほどその一定額が融資ができる仕組みとなっています。これを信用創造と呼び、民間銀行は自分が持っている資産以上のお金を貸し付けることができます。

つまり、アベノミクスの金融政策の一つは日銀主導で民間銀行の貸付額を増大させることであり、企業側の設備投資のための借入金や民間消費者であれば住宅ローンとして貸し出されることで不動産等の購入の増加につなげたいという意図があります。

有価証券(ETF、REIT)の購入

ETF

日銀は国債の買取りだけではなく、有価証券を直接購入し、市場に資金供給を行っています。ここ数年に年6兆円規模の上場投資信託(ETF)や年900億円規模の不動産投資信託(REIT)を購入することで日経平均株価を下支えしてきました。

アベノミクス発足当時は日経平均が1万円付近を推移していたのに対し、この7年間を通して2万4000円を超える場面も何度かありました。

日銀による景気下支えの功績は大きいと言えます。しかしながら有価証券を購入するということは、一般の投資家と同じように含み損を抱えるということも忘れてはいけません。

「損を出しても、その分紙幣を刷れば大丈夫」などと安易に考えれば、海外から円の信用がなくなり、通常の円安株高とは異なる異常な円安となり、円の暴落と物資の輸入等に大きな支障を来たすこととなります。

マイナス金利

マイナス金利とは民間の銀行が日銀に預ける当座預金にマイナスの金利を課すことです。

民間銀行からすれば当座預金に預けることは義務であり、必然的に金利を払わなくてはいけなくなり、何もしなければ収益が悪化する状態となります。だからこそ、民間銀行は多くの貸付を行うため低金利で企業側には設備投資、家計(一般の消費者)側には住宅ローンによる不動産の購入など、様々な形で貸付を行ってきたわけです。

言い換えれば、日銀は民間銀行にお金をたくさん貸し付けるようにムチを打っている状況であり、それがマイナス金利政策の本当の目的となります。マイナス金利の深堀は民間銀行に大きな負担と収益悪化を招くというリスクがあり、それが地方銀行を筆頭に限界が来ていることは皆さんもお気づきの通りです。

国債を民間銀行から大量に買い取り、当座預金に大量の資金を預けさせて、マイナス金利を掛けて、貸し付けを増やすという仕組みになっているわけです。

日経平均は新型コロナウイルスにより6000円の暴落

コロナ 暴落

1か月前に「新型コロナウィルスによる株価の下落は一時的だからすぐに戻る、これは金融危機でないから心配ない」と楽観的に言っていた頃とでは状況が一転しています。

コロナショックにより日経平均は崩落

日経平均は既に新型コロナ騒動により2020年2月下旬から6000円近く暴落しており、これまでのアベノミクスによる成果を一掃する状況です。

マイナス金利の導入、チャイナショック、トランプショックなどが起きた2016年に日経平均は1万5000円付近を推移していましたが、それから数年、2019年の米中貿易戦争を乗り越え2020年2月上旬まで株価は概ね右肩上がりで推移してきました。

そして、2020年2月25日から投資家にとって悪夢のようなコロナショックにより大暴落しています。2016年のマイナス金利導入時の水準まで下落するのではないかとの懸念もあります。

2016年2月から2020年3月17日までの日経平均(週足チャート)

見ての通り2万4000円からの絶望的な大暴落。滝のように落ちています。個人投資家の間では「ナイアガラ」と言われたりもします(笑)

2016年の2月の底値にあと数週間で到達してしまう勢いです。マイナス金利中の超絶大暴落なので金融政策の効果をリセットしに来ているといっても過言ではありません。

 

FRB(米連邦準備理事会)も既に動いている

アメリカの中央銀行、FRB(米連邦準備理事会)も日銀よりも前に動いてきました。リーマンショックと同じ規模の量的緩和政策に踏み切っています。 

金融市場に150兆円の資金供給

2020年3月13日FRBは1兆5000億ドル、日本円で150兆円規模の資金供給を2日間で行うことを発表していますが、12日のニューヨーク市場は反応が薄く、底値を固めるにはまだまだという反応でした。また17日には企業が短期資金の資金調達に使うCP(コマーシャルペーパー)を緊急で買い入れる措置を発表するなど、ダウの暴落に歯止めがからない状況ではありますが、底値を固めるための政策を打ち出している。

FRB緊急利下げ、事実上のゼロ金利政策

FRBは政策金利(フェデラルファンドレート、通称FF金利)を1%引き下げる緊急利下げを決定し、リーマンショックと同じ水準での実質ゼロまで引き下げています。ちなみにアメリカが金利を下げるということは民間銀行を通じて市場にドルが大量に出回ることになります。つまり、ドル安の状態となりますので日本円は相対的に高くなり、一般的にはドル安円高に動くということなります。

2020年3月金融政策決定会合による日銀の追加緩和

FRBに合わせて日銀も金融政策決定会合の本来の時期よりも前倒しして追加緩和の方向で本格的に動き出しました。16日に追加緩和の緊急決定が発表されましたが、市場関係者から見れば「期待外れ」との言及もされています。

金融政策の効果が誰の目にも明らかになるまでは今しばらく時間が掛かりそうです。

上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(JREIT)の購入

上場投資信託(ETF)の買い入れ目標を年6兆円が上限のところ、今回の追加緩和措置として上限を12兆円に上げてきました。すぐに12兆円注入するわけではないので、発表当時は日経平均が一時急上昇し、投資家の「勘違い」ということですぐに下落する場面もありました。また、不動産投資信託(J REIT)は年900億円の購入目標であるのに対し1800億円まで倍増するとのことで、「潤沢な資金供給」の内容が浮き彫りになってきました。さらに、今年9月までコマーシャルペーパーの買い取りを2兆円増額するなど、短期的ではありますが企業に対しても資金供給を行う方針です。

マイナス金利の深堀はせず

黒田東彦総裁はマイナス金利の深堀りはしないとのことでした。資金繰りでひっ迫している金融機関もあるため、更なる負担を掛けないための判断とのことでした。しかし、マイナス金利の深堀り事態はまだまだ可能であることを言及し、新型コロナウィルスの市場に対する影響を注視した上で必要があれば躊躇なく追加緩和する姿勢を見せています。

まとめ

市場では「コロナショック」の影響が大きく、投資家はまだまだ悲観ムードを払拭できていない状況です。FRBや日銀を中心に世界各国がリーマンショックと同じ規模の金融政策に踏み切っており、株式市場の下落に歯止めをかけようと必死です。

その中でも日本の株式市場の混乱はまだまだ治まらず、下落トレンドでありながら一日の株価の値動きが激しく乱高下し、非常に不安定な相場となっています。また、底値がどこなのかもはっきりしないことから、「買い」に踏み切れない投資家の方もたくさんいると思われます。

リーマンショックの時もそうでしたが、底値の分からない怖さがある半面、「今が買い時」と考える投資家の方も当然いらっしゃると思いますが、十分な資金計画で市場から退場させれることのない安全な資金管理を徹底することを推奨します。

 

参考文献

情報産業労働組合連合会 ― http://ictj-report.joho.or.jp/1905/sp05.html

 

 

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