年金の巨額損失!?GPIFが5年ぶりの運用比率を変更!

各国の金融政策会合

世界中の株価が暴落しているので、われらのGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も巨額な損失を出した模様です。

まだ2019年度の数字は出てきていないので、正式な数字は判りませんが、野村証券の試算によると、第一四半期は18兆円の赤字だったとのこと。内訳としては国内債が1000億円の赤字、国内株が7兆6000億円の赤字、外国株式は10兆6000億円の赤字、外国債券は3000億円の黒字でした。

2019年度では、19年4~12月が9兆4241億円の黒字であったので、年間トータルでは8兆6000億円の赤字ということのようです。

GPIFの資産総額は2018年度末では159兆円であったので、2019年度は5.4%の損失ということになります。

GPIFは運用開始からかなり儲けている優秀なファンドですが、マスコミはきっと今回の損失を切り取って報道するのかものかもしれませんが、今回の世界の株の暴落を考えると、それほど悪くないと筆者は思います。

ところで、GPIFは4月から運用比率を5年ぶりに変更しています。

国内債券の比率を減らして外国債券の比率を増やすとのことです。

この決定に至った理由ですが、日経オンラインによると、GPIFの高橋則広理事長は以下のように語っています。

「国債は安全な資産ではあるが、金利がマイナスであるものに投資していいのか、ずっと組織の中でも悩んでいた」

具体的には、これまでは国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%であったところ、国内債券については35%から25%に、外国債券15%であったところ25%に増やします。

この外国債券の10%分の増加については、現在の資産総額170兆円の10%=17兆円分のドルを手当てすることになりますので円安要因になるはずです。ドル円の買いが?!と推測可能ですが、実際はすでにその手当ては終わっているかもしれません。

筆者の推測ですが、2月18-20日にドル円が110.30円から112円まで急騰したタイミングがそれだったのかもしれません。

ドル円急騰

このポートフォリオは価格のパーセンテージで決定するので、たとえば今回のように株式の価格が大幅に下がると、トータルの保有株式量は減ってしまうので、その時に債券価格に変化がないとか上がっていれば、債券売り、株式買いを行うはずです。

国内マーケットでGPIFがポートフォリオ調整のためいっせいに買いに入ることになれば、それは池の中のクジラが動き始めるようなもので、それだけで市場価格が動いてしまいます。それがわかっていれば大きな見方を付けてポジションをとれるのですが、残念ながらあらかじめ知りようがありません。

そのため、時間的な猶予を持たせるために、GPIFのポートフォリオには各資産ごとに許容乖離幅が設けられています。

たとえば、国内株式は25%±8%、海外株式は25%±7%となっています。つまり、たとえば国内株については、17%~33%の幅の中で抑えるというルールです。

日銀のETF買いと違って、GPIFは国内株式が下がったので、新たにロングした後値上がりしてポートフォリオのシェアが全体の33%を越えてくる場合は利食うということになります。

国債はどうでしょうか?

GPIFのWEBページによると、以下の通りです。

「債券は、国や地方公共団体や企業などが、資金を投資家から借り入れるために発行する借用証のような有価証券です。あらかじめ満期日や額面金額(満期に戻ってくる金額)に対する利率などの条件が決められています。債券は満期になると額面の金額が投資家に返ってくるほか、一部の特殊なものを除いて、約束した金額の利子を定期的に受け取れます。満期まで保有すると、こういった利子に加え、額面金額と購入価格との差額が収益として期待できます。途中で他の投資家に売却する場合は、売却益を得られる可能性があります。債券投資は一般的に株式よりも安定的な収益が見込めるとされています。」

海外のヘッジファンドも顧客から預かった資産プラス銀行からの借入金を足して(レバレッジをかけて)投機をしていくわけですが、ポートフォリオ戦略は極めて一般的です。「債券投資は一般的に株式よりも安定的な収益が見込める」のが重要なポイントです。

ポートフォリオ戦略をとるヘッジファンドは景気後退の場合は国債や格付けの高い社債に投資するシェアを大幅に増やします逆に好況の時は債券に回す額を抑えて、株式投資やコモディティ投資を考えます

GPIFもそれと同じ分散投資をしているわけです。4月から外国債券へのシェアを増やしたのは、日銀のマイナス金利政策でマイナス金利で運用するには問題ありということなので、利回りの高い外債に回すということなのですが、一つだけ課題があります。

為替です。GPIFは為替ヘッジはしていません。ただ、ヘッジをしないという判断については、今度の新しいポートフォリオでは円貨50%、ドル50%なので、よく分散されているということもできます。

通常は、米株が下がればリスクオフでドル高になりますので、円貨で計算すれば良くバランスがとれていると言えます。

さて、GPIFの成績はこれまでかなりのプラスになっています。

どのくらいのプラスかというと、日経CNBCによるとGPIFはこれまで75兆円程の利益があるそうです。が、このうち35兆円はすでに収入として受け取っているので、昨年度末の含み益は30~35兆円ということのようです。日銀の含み損が今現在4兆円(?)と言われていますので、大したものです。なので、今年度の損失である8.6兆円は特に問題なしということになります。

残りはまだ21~26兆円程となります。

ただし、気になるのは、GPIFの年金運用の一部も年金給付に使われていることです。毎年年金基金はあてにされています。

GPIFの資産から年金用に切り崩される部分が毎年ありますので、不況で年金支払い側からの額が少なくなると、この取り崩し部分が大きくなっていくので、今回のような状況が長く続かなければと思います。

 

人気記事現役トレーダー1000以上に聞いた!FX会社人気総合ランキング!

著者プロフィール

memo
ウィンインベストジャパン( https://win-invest.co.jp/ ) 齊藤トモラニ 老舗FXスクール代表。
FX会社主催のセミナー講師としても活躍する。
著書に『簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード』
ロンドンfxの松崎美子さんと一緒にYouTube「fxの流儀」を配信中
<FXの流儀youtubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UC30w5H2MGSs6wP1YFjPeXBg

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です