景気が悪くなったり、経済で不況が訪れると金融緩和という言葉をよく耳にします。一見難しそうな言葉に聞こえますが私たちの暮らしや経済に大きな影響を与える重要な事なのです。
今回はそんな金融緩和について分かりやすく解説していきます。
- 金融緩和の概要と基礎知識
- 金融緩和はどのような機関で決められるのか
- 金融緩和が物価や為替相場に与える影響
この記事を読むと
- 金融緩和について分かりやすい解説で理解を深めることができる
- 過去の事例をもとに金融緩和が為替や物価にどのような影響を与るのかを理解できる
Contents
金融緩和とは?!

金融緩和とは、分かりやすく言うと、世の中に出回るお金の量を増やしていく政策になります。不況時にお金の流通を良くし、景気の底上げを図ります。
そんな金融緩和は主に3つの方法で行われます。
利下げ
中央銀行が定めている金利を下げる方法です。これにより企業が銀行にお金を借りやすくなります。民間の金融機関がお金を借りやすくなるため、多くの企業や個人に融資をすることができるのです。
量的緩和
民間の金融機関が保有している国債を中央銀行が大量に買う方法となります。
これにより民間の金融機関にお金が集まるので多くの企業や個人に融資をすることが可能となります。お金の回りが良くなり景気の回復をさせる目的で行われます。
マイナス金利
マイナス金利とは本来プラスになるはずの金利がマイナスになることを言います。すなわちマイナス金利状態であればお金を預けていると減るということです。中央銀行の一部預金をマイナスにすることで、各金融機関が企業に貸し付けや投資を行い金利を得ようとします。その結果、経済が刺激され景気回復につながるという目的で行われます。
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お金の量を測る指標
世の中に出回るお金の量を測る指標として「マネタリ―ベース、マネーストック」という2つの指標があります。
マネタリーベース

世の中に存在するお札、硬貨、民間銀行が中央銀行から引き出せる全ての預金を掛け合わせたものをマネタリ―ベースといいます。
「中央銀行→民間銀行を含む社会全体への資金供給」という定義です。実際に発行されている紙幣と硬貨の総量として捉えることができます。
マネーストック

世の中に出回ってるお金と民間銀行に預けられた預金を足したものをマネーストックといいます。マネタリーベースと違い「民間銀行→社会全体への資金供給」という定義です。このマネーストックは物価に大きな影響を与えます。実際に世の中に出回っているお金なのでばらまかれると景気は回復傾向にあるのです。お金の希少価値が低くなるので物価の上昇を起こしやすい特徴もあります。
金融緩和によりどれだけお金が増えたかを確認するにはマネーストックを見る必要があります。マネタリーベースが増えているのにマネーストックが増えていなければ、有効な投資先がなくお金が停滞していると捉えることができるのです。
各国の金融政策会合で定められる

金融緩和は各国の中央銀行によって開かれる会合で定められます。

これらの会合で多数決によって金融政策は決められます。国によって回数や開催時期は異なりますが経済指標カレンダーなどを見れば予定を確認することができます。
また中央銀行のトップによる会見などで今後の金融緩和の可能性を探ることもできます。ニュースや会見内容について注意してチェックすることが重要です。
金融緩和による為替や物価への影響

金融緩和は景気向上のための政策になります。そのため通貨や物価への影響はとても大きいです。具体的にどのような影響を及ぼすのかを下記にて解説していきます。
過去の金融緩和による物価への影響
2008年9月15日にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻しました。これはリーマンショックと呼ばれ世界の経済を交代させたのです。この時に金融緩和を実施して物価の上昇を試みた2つの国についてまとめています。
日本の金融緩和
リーマンショックによる経済の悪化により日本はデフレ状態にありました。2013年に日本銀行がマネタリーベースを2年間で2倍にする金融緩和に踏み切りました。この政策により現在に至るまで緩やかに物価が上昇する形になったのです。
アメリカの金融緩和
アメリカもまたリーマンショックの影響により個人消費が落ち込むデフレ状態に陥りました。そこでアメリカはマネータリ―ベースを3倍に引き上げる量的緩和の政策を実施しました。
株式市場をはじめとする資産市場や実体経済に一定の効果をもたらしましたが、雇用の増加につながらなかったため物価も大きく上昇することはなかったのです。

金融緩和はデフレ状態の際に対策として取られることが多いです。景気が落ち込むと物価は下落します。金融緩和によって物価の上昇を図っても、雇用の増加がなければ物価は落ち込んだままになってしまう傾向にあるのです。
各国の通貨や為替相場への影響
金融緩和が実施されるとその国の通貨価値は下がる傾向にあります。金融緩和により多くの通貨が流通することが原因です。また金利を下げる等の政策になるとその通貨の魅力が減ることになります。金利が低い通貨よりも、金利が高い通貨の方が魅力があるので乗り換える投資家が増えます。
大規模な金融緩和は景気回復の期待により通貨価値は上がるという考えもありますが、それ以上に通貨への魅力がなくなることの方が大きな懸念となる傾向にあるのです。
まとめ

金融緩和は為替相場だけでなく物価など暮らしに大きな影響を与えるものです。国によってそれぞれ金融緩和のやり方は変わってくるので特に注意してチェックしておくことが重要となります。
2020年現在、コロナウィルスの影響により世界経済が大きな打撃を受けています。そんな中で金融緩和を実施する国は多く出てくるという見方がされています。各国の対策や動向に注目することが重要となってきます。
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