シェールオイル生産企業の資金調達手段「CLO」とは?

原油先物価格がマイナス!!

先週は先物の原油価格がさらに暴落して、ありえないマイナス価格が示現しました。

買うとお金がもらえるということになったのです。

ガソリンがマイナス価格なら喜んで車満タンにしてとか考えてしまいますが、実需の世界で原油とかガソリンがマイナス価格となったわけではありません。

資本主義が壊れたなんていう評論家の人もいましたが、まったくそんなことでもありません。

 

リアルな石油取引の世界では、米国で取引されたミニマム価格はバレル数ドルだったと聞いてます。

1バレル(=159リットル)で数ドルという価格でもかなり安いですが、喜んでばかりいられません。

 

世界の産油国は2週間程前に協調減産することに決めたのですが、コロナ危機の都市封鎖で需給のバランスが完全に崩れており、それも日量で1,500万~2,000万バレルと世界の需要の実に15~20%もの供給超になっていると言われています。

5月先物がマイナスになった最大の理由はWTI先物と連動するETFが米国(USO)、中国(石油宝)で組成され、そのロングポジションの巻き戻しで起こった極めてテクニカルな特異な事件と思われます。

 

彼らも同じ轍(てつ)は踏まないでしょうから、今後この供給過剰が続いたとしても、期近物の価格が再びマイナスになることはないでしょう。といっても、ムニュ―シン財務長官が先週コメントしたバレル30ドルにもなかなか届かないかもしれません。

彼は、コロナが夏ころに落ち着けばその時は30ドルくらいに上がるだろうとコメントしていました。

シェールオイル生産企業の資金繰り方法とは?

そんな状態で消費者にとっては安い石油が使えることは間違いなさそうですが、ちょっと気になるのは米国のシェールオイル生産企業の資金繰りですね。

 

そういう企業の多くは財務基盤が弱く、外部借り入れに頼ってきたので、原油安による採掘の採算割れ(40ドルがブレークイーブンと言われています)で経営が行き詰まれば返済できず、債務不履行が相次ぐ懸念があります。

今月初に実際に米国の中堅のシェールオイル生産企業であるWhiting Petroleumという会社が破産宣告してしまいました。

 

こうした企業の社債は利回りは高めで、信用格付けは低いのが通常です。

ただ、利回りは高いので、今のように低金利が続く金融市場では高金利はすごい魅力です。安全であればですが...

 

シェールオイル企業は資金繰りのために高金利の社債を発行して資金を集めます。

そのハイイールド債はどこにどのように売られているのか?というと、ローン担保証券(Collateralized Loan Obligation=CLO)と呼ばれる3文字熟語証券化商品に多く組み込まれていて、今回のような世界恐慌的な信用リスクが高くなっている場合、日本勢など世界の投資家が買った商品に損失が広がる懸念があります。

 

ローン担保証券(CLO)はウォール街の投資銀行が作り上げた金融商品の1つで、数十年前から存在しているようです。

同じ3文字熟語には、よく似た債務担保証券(Collateralized Debt Obligation=CDO)というものがありますが、これは高リスクの債権をまとめてパッケージ化することによって組成されています。

 

そういえば、これらの3文字熟語証券化商品は、リーマンショックの時に問題となりましたね。

そのリーマンの時に問題となったのは債務担保証券(CDO)でしたが、当時は規制がなく、格付けの低い債権でも格付けの高い債券とごちゃごちゃにまぶされ、それで出来た債権をまた同様につくったほかの債権と抱き合わせて新たな債権をつくり、その格付けを上げ、それをまた他と抱き合わせるなど、わけのわからない証券化商品にして売られたそうです。モラルハザードの極(きわみ)でした。

 

現在のCLOは、リーマンの時の反省もあり米国の金融庁の規制もあり、昔ほどいいいかげんな証券化商品ではないようですが、今回のようなコロナ危機のような不測の事態でのリスクは高いです。

 

ただし、保有するCLOの大半は、融資先が倒れても優先的に返済が受けられる仕組みの最高格付けとされていますので、基本的に安全度は高いですが、今回のコロナ危機ではシェールオイル生産企業へのダメージは相当なもので、予断を許しません。

 

邦銀は昨年までCLOへ積極投資を続け、投資残高が一時は市場全体の15%に膨らんだとも言われています。

世界中のCLO残高は(ちょっと古いですが)2018年現在で、6600億ドル(72兆円)を少し超えたくらいの金額になっています。

 

ブルームバーグによると、日銀は昨年10月に公表した金融システムリポートで、国内の低金利を背景に邦銀の投資が増加しているローン担保証券(CLO)について、リーマンショック級のストレスが発生した場合でも、邦銀が多く保有する最上位AAA格のトランシェは「信用リスクの面での頑健性は相応に高い」との分析結果を示しています。

その通りであればよいのですが...

 

これに先立ち、昨年の4月に立憲民主党の藤田幸久議員の質問に対し、当時の吉川貴盛農相が参院農林水産委員会で、農林中央金庫がローン担保証券(CLO)投資を急拡大していることに関連し、仮に損失が発生すればJAバンクなどの系統金融機関に甚大な影響を与える恐れがあるとの認識を示していました。

 

リーマン時に比べてCLOの安全性は際立って高くなっているものの、理論上高金利で安全なものが存在しえないことを考えると、予断は許しません。

 

FRBも日銀も、国債だけでなく社債やCPまでを購入する決断を下しているのは、ハイイールド債を発行しているシェールオイル生産企業が債務不履行に陥らないように、直接、間接に社債、CPを購入、またCLOのなどを大量に持つ金融機関などを万が一の時に救わざるを得ないということを想定しているのかもしれません。

米連邦準備理事会(FRB)が金融市場の安定化へ向け社債の買い入れに踏み出したのは、こうしたシェールオイル企業やCLOを購入した会社の社債を意図したものと思われます。

 

5月~6月の決算発表の場で、メガバンクや農林中央金庫、ゆうちょ銀行などはCLO投資の実態と潜在リスクを情報開示してくると期待しますが、注目に値すると思われます。

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著者プロフィール

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ウィンインベストジャパン( https://win-invest.co.jp/ ) 齊藤トモラニ 老舗FXスクール代表。 FX会社主催のセミナー講師としても活躍する。 著書に『簡単サインで「安全地帯」を狙うFXデイトレード』 ロンドンfxの松崎美子さんと一緒にYouTube「fxの流儀」を配信中 <FXの流儀youtubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UC30w5H2MGSs6wP1YFjPeXBg

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