【新法案成立?】国際金融センター香港は終わってしまうのか!?
5月22日から1週間の予定で開催されている中国の全人代では今年の経済成長目標などは発表されず、どうやら目玉は、香港をめぐって「国家安全法」案を通すことらしいという話になっています。
28日にこの法案は可決され導入されます
しかし、これにて1997年に英国から返還され50年間は一国二制度が約束されたはずの香港の自治は完全に終焉することになります。
これに対して米国が中国の当局者・企業・金融機関へのさまざまな制裁措置を検討中と伝わってきています。
どのような制裁がいつ適用されるのか次第でマーケットには大きなインパクトが予想されますが、今のところ
反応は香港、上海などの地域的な反応のみで収まっています。
さて、米国で2019年に成立した香港人権・民主主義法によれば、一国二制度が損なわれていると判断すれば香港に制裁を課せる内容になっています。
5月25日の日経新聞によれば、「オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日、この制裁発動を示唆し「中国が香港を乗っ取れば、香港がアジアの金融センターとしての地位を守るのは困難だろう」と発言した、と伝えています。
制裁内容として考えられるのは、まず、米政府が香港に認めている優遇措置を見直す可能性です。
つまり、米国の外務省に当たる国務省が香港の自治について検証する予定であると伝えられています。
香港は中国の一部であるにもかかわらず、対中貿易関税対象地域として扱われておらず、中国が香港経由で米国に輸出をする場合に追加関税をかけられていません。
中国にとっては抜け道になっているわけです。
自由と法治都市であるがゆえに国債金融ハブとして資金も人材も集まってきていました。
香港がそのような制裁を加えられれば、金融センターとして大打撃となることは明白です。
なので、この法案が通れば、香港から資本や人材が流出するとの懸念がありますが、それはさせじと、ロイターによると、
香港金融管理局長官は香港国家安全法について、香港の金融システムのあり方を変えるものではないと強調しました。
香港の為替市場や銀行システムから大量の資金流出は起きていないとしたほか、中国・香港政府は海外投資家が引き続き法律の下で保護されることを明確にしている。
と述べています。
しかしながら、誰がそれを信用するというのでしょうか?
法案成立後でも、香港を支えるのが中国政府の目的であることは間違いなさそうです。
政治的な締め付けで、資金と人材が逃げ出してしまい米国に優遇措置をとめられば、欧米や日本のメディアでは、外資系企業の投資への信頼感や、国際金融センターとしての香港の地位が揺らぐとの見方が多いようです。
それを反映して市場は明らかに香港金融管理局長官の言明とは違う反応を示しています。
香港ドルは6週間ぶりの大幅な下げとなり、香港株は2008年以来の大幅下落を記録しています。
ドルペッグ体制を敷いている香港ドルは公式取引バンドである1ドル=7.75-7.85香港ドルの内にいますが、「国家安全法」案の話が流れてきた5月20日にはドル香港ドルは7.75から7.7577まで急上昇(=香港ドルは急落)しました。
ブルームバーグによれば、
投機家はデリバティブ(金融派生商品)を使って、香港ドルの大幅下落に賭けており、弱気度を示す指標は今年の最高水準近くに達している。
香港ドルのオプションの取引高は22日に37億米ドル(約4000億円)に増加しており、そのうち3分の1が対米ドルの許容変動幅の下限に達するか、それを割り込むことに賭ける取引だった。
混乱がさらに悪化するとの確信は、スワップ市場でも明白になっている。 香港と米国の金利差は1990年代以来の水準に拡大。
香港ドルの1年物フォワードポイントは99年以降で最高水準となった。
これは同通貨の下落に対するヘッジの需要が急増していることを示唆する。
ただ、香港ドルは引き続き対米ドル許容変動幅の上限近くで推移している。
とかなりネガティブに伝えています。
しかし、その後は落ち着きを取り戻しています。この米中対立の激化は欧米や日本市場また為替にも影響が出ておらず、
今のところ、市場はあまり気にしていないようにも感じられます。
香港株も20日、21日の2日間で8%近く下がりましたが現在は戻し気味です。
その一つの理由が中国本土から資金が前例のないペースで香港株に流入しているからと伝えられています。
最大の資金流入先は中国国有企業の株式だったとブルームバーグは伝えています。
ブルームバーグによると
香港株の下落時に本土勢の買いが上向く傾向があることを歴史は示している。
香港のハンセン指数が約3年ぶりの安値に値下がりした3月、本土投資家は押し目買いに動いた。
また、中国の習近平国家主席が香港返還20周年に合わせて香港を訪問した17年のように、主要政治イベントの際には、政府系ファンドも香港市場の安定を支えるために待機している。
としています。
世界中の主要株価は今月は5~10%とプラスになっていますが、ハンセン指数(香港株)だけはまだ5%以上のマイナス、上海も若干のマイナスになってきています。
本日の全人代での法案成立直後の市場の反応と米国の週末での制裁案の行方に注目です。
当局者・企業・金融機関へのさまざまな制裁措置とは、たとえば米国への入国禁止措置から米国にある資産の凍結、ドル取引などの制裁がかけられるようなら、市場への悪影響が一気に増すことになります。
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