リスクオフでも株価は上がる!?コロナ禍のパラドックスとは?
株価はまことに期待感のみで上がるものです。
ここのところの調整のない株価の値上がりがそれを象徴しています。
ただ、世の中はコロナ禍から脱出し始めていることを除いてリスクオフを一色です。
なのに株はなぜ上がるのか??
例えば、地政学リスクや米中貿易摩擦の懸念が高まる時をリスクオフ(リスク回避)と呼び、株式から比較的安全とされる米ドル(米国債)や日本円(日本国債)などに投資家の資金が向かう傾向となります。
その点では新型コロナの蔓延は先進国ではすでに峠を越しているように見えますが、2月から3月にかけて株は大暴落、リスクオフそのものでした。
現在でも第2波、3波の可能性がありますので、リスクオフ要因には違いありません。
さて、他にもリスクオフ要因があるのでしょうか?
5月29日、中国の国家安全法に対して米国が中国に制裁検討とのことで、トランプ大統領の記者会見まで米株は下がって始まっていましたが、10分足らずの記者会見後には、株価は上昇して引けています。
トランプ大統領が記者会見で述べたことは極めて株価に配慮しながらも、かなり厳しい発言でした。
内容的には「香港の優遇措置を停止する」こと、「WHOから脱退する」こと、そして「中国人留学生の受け入れ拒否」の3点でしたが、中国に対する経済制裁を発表しなかったことで米中対立への過度な警戒が後退したと言われています。
これで、マーケットには安心感が拡がり株価は上がってきた形です。
トランプ大統領にとって現在もっとも高い関心事は11月の大統領選です。
そのためにどうしても株価を上げておく必要がありますが、中国を激しく口撃して株価を下げてしまっては元も子もありません。
現在、米国世論はアンチ中国がコンセンサスになっている状況下、中国を激しく叩くものの、株価に悪影響は与えないように十分配慮した記者会見でした。
記者の質問も受けなかったことで、マスコミの関心をそらし、結果マスコミも市場もこの問題を特に大きく扱っていません。
ただ、それぞれの3つは中長期的に中国を叩くには限りなく有効な方法に違いありません。
特に「香港の優遇措置を停止する」という決断は、一見そうは見えませんが、中国が外貨を獲得するための窓口としての香港、米国からのハイテク製品の輸入の窓口、中国製品にかかっている高関税を免れる抜け道になっています。
さらに、また中国人VIPの個人資産の海外への資金移送のための窓口が一気になくなることになります。
また関係者への米国入国ビザもできなくなります。
トランプ大統領は、香港の自由と自治の後退に責任を負うと考えられる個人に、資産凍結や査証(ビザ)無効化などの制裁を科す権限を有しており、中国国務院の香港マカオ事務弁公室の夏宝龍主任や中央人民政府駐香港特別行政区連絡弁公室(香港中連弁)の駱恵寧主任、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が対象になり得るとブルームバーグは伝えています。
ただ、市場の動向を見る限り、香港の優遇措置を撤回するというトランプ米大統領の発言はそれほどの懸念を呼んでいないようです。
米国ダウは少しマイナスで引けましたが、S&P500、ナスダックはプラスで終了、ハンセン指数は6月1日には3.3%余りの上昇となっています。
さらに、香港問題よりも大きな事件が全米を震撼させています。
米国中西部ミネソタ州で起こった警察官による黒人男性(ジョージ・フロイト氏)への過失暴行殺人事件への抗議活動が全米に拡がっています。
米中西部ミネソタ州ミネアポリス市当局は26日、白人警官が容疑者のフロイト氏を逮捕する際、行き過ぎた暴力行為があったとして関係する4人の警官を解雇したようですが、全米各地で暴徒たちが商業施設や警察車、教会などに火をつけ、略奪行為も見られ始めている用です。
トランプ大統領は5月31日、暴徒化した一部の抗議活動を左翼暴力集団ANTIFA(アンティーファ)という別の州からやってきた組織が扇動しているとして、ツイッターで「ANTIFAを国内テロ組織に指定する」と表明しています。
ANTIFAによる暴徒の鎮静化を計る強硬措置をとる模様です。
米国のバー司法省長官は、フロイド氏の死を受けて拡大する抗議運動に関して、「平和的な抗議の声は、暴力的・急進的な要素によって乗っ取られている」とする声明を発表しています。
このアンティーファのバックには中国がいるのでしょうか?トランプつぶしを画策しているともうわさされています。
明らかにリスクオフニュースですが、これでも株価は下がりません。
市場はこの国内の大規模混乱も気にしていないようです。
新型コロナからの脱出が近く、経済再開への期待感のみで米株は上昇し続けています。
欧米に比べコロナ禍は軽症な日本は先週から緊急事態宣言が解除され、北九州市での第2波が認められるものの、他地域では今のところコロナからの脱出成功の様子で、日経株、特にマザーズ指数は米国にも増して上昇しています。
特に先月までの外国人による日経株の売り越し額が8兆円と巨大であったことと、下がらない株価で、買い遅れた人々による焦りの新規買いが入って来ているものと思われます。
株価はまさに期待感のみで上昇してきています。
ただ、油断は禁物。東京都では6月2日は緊急事態宣言解除後9日目になりますが、感染者の数は34人と急に増えてしまいました!
東京都では1日から新型コロナ対策の規制緩和のステップ2へと移行。
公立学校が再開され、劇場やスポーツジムなどに出されていた休業要請が緩和されたばかりだが、感染状況が悪化したとして「東京アラート」を出す方向で調整しているようです。
これでもまだ株は買われるでしょうか?
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